エログロス Vol.3のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
| 作品名 | エログロス Vol.3 |
|---|---|
| 形式 | 単行本(アンソロジー) |
| ページ数 | 245P |
| 主なタグ | ホラー, その他フェチ |
バックリ愛首の先に広がる、ニッチフェチの深淵
「エログロス」は、氏賀Y太氏の発案により生まれたリョナ+ニッチ系アンソロジーだ。Vol.3のキャッチコピーは「バックリ愛首イリュージョン」。その言葉通り、いわゆる普通の性交描写すら必ずしも主役ではない。ゴア、グロ、スプラッターといった要素と、時にニッチ極まりないフェチズムが融合した作品群が並ぶ。収録は新規描き下ろしと、同人誌では入手困難なレア作品の再録。245ページというボリュームは、このジャンルの熱狂的なファンにとってはまさに垂涎の的と言える。一般向けエロ漫画の常識は、ここでは通用しない。耐性のない者には地獄の絵図だが、特定の性癖を持つ者には楽園が広がっている。
残酷と官能が交差する、11人の作家陣による饗宴
アンソロジーの醍醐味は、多彩な作家の個性を一度に味わえることだ。本作はその点で、非常に濃厚な一冊に仕上がっている。
描き下ろし新作が示す、各作家の“現在地”
つくすん「冠姫姦々」、橘こう「異形怪異の孕ませ罠」、猫頭巾「トーデストリープ 1話」など、本誌初掲載の描き下ろしが計5本収録されている。これらは、作家が商業誌という場で「今、描きたいもの」をぶつけた最新作だ。特に猫頭巾による30ページの新作は、連載の第一話ということで世界観の構築に力が入っていると思われる。各作家の画風の進化や、新たな趣向を試みた痕跡を探るのも、コアな読者にとっては楽しみの一つだろう。
性交描写なしの作品が生む、異色の興奮
あらすじに明記されている通り、ぜろぽんち「小さな悪戯」、窓「アタリが出たからもうひとり」、氏賀Y太氏の2作品など、性交描写そのものがない作品が複数含まれている。これは大きな特徴だ。これらの作品は、身体の変形、切断、あるいは心理的な支配や恐怖といった要素そのものが、性的興奮の源泉として機能している。普通のエロ漫画を求める読者には物足りないが、より抽象化された、あるいは倒錯したフェチズムを追求する者にとっては、貴重な資料となる。正直、こういう「エロ」の定義を拡張してくる姿勢には参った。
同人レア作品の再録によるコレクション価値
掘骨砕三「あるひ」、ミチヅキ「贄罠 赤ずきんvs狼男」など、同人誌として発表された作品の再録も価値が高い。同人誌は印刷部数が限られ、即完売してしまうことも多い。そのため、これらの作品を手に入れられなかった読者や、後からジャンルに興味を持った読者にとって、商業単行本で確実に入手できるのは大きなメリットだ。特に40ページにも及ぶ掘骨砕三氏の作品は、同人誌時代から話題を集めていたと思われる。これを一冊にまとめた編集のセンスは評価できる。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
本作はアンソロジー単行本そのものです。比較対象となる「単話」は存在しません。245ページで11作品を収録する本書は、個別に同人誌を集めるよりも確実にコストパフォーマンスに優れています。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
各話完結型のアンソロジーなので、Vol.1やVol.2未読でも全く問題ありません。ただし、「エログロス」というシリーズが持つ、過激でニッチな作風への志向性は共通しています。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
暴力・グロテスク描写はほぼ全編に渡って存在します。タグに「ホラー」とある通り、身体の損壊や残酷な描写が主たるテーマです。NTRやスカトロについては各作品次第ですが、ホラー・グロと親和性の高い要素は含まれる可能性があります。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
「実用性」の定義によります。従来型の性交描写を求めるなら不向きです。しかし、グロ・リョナ・ニッチフェチという特定の性癖を持つ者にとっては、描写の細かさと作家のこだわりが「実用性」そのものです。短編ながらもオチや世界観を重視した作品も多いです。
「エログロス Vol.3」を手に取るべきはこんな人
☑ YES!買い
- 氏賀Y太をはじめ、収録作家のファンである。
- グロテスクやリョナ描写に性的興奮を覚える。
- 「その他フェチ」と分類されるマニアックな性癖の持ち主。
- 同人誌では入手困難なレア作品をコレクションしたい。
☐ NO。様子見
- 流血や身体損壊の描写に耐性が全くない。
- あくまでも「普通の」性交シーンを求めている。
- ホラーやグロ要素はあくまで添え物程度が好み。
ニッチの極地で光る、11色の狂気
本作をBランクと評価する。その理由は、対象読者が極めて限定されるためだ。しかし、その限られた読者にとっての価値は計り知れない。描き下ろしと貴重な再録をバランスよく収め、245ページという大ボリュームでニッチフェチの世界を堪能できる。ある種の「資料集」としての側面も強く、このジャンルの変遷を記録する一冊と言える。これを読んで何も感じないなら、あなたはこの分野の門外漢だ。だが、タグに心がざわついたなら、間違いなくその中に未知の興奮が見つかる。各作家が心血を注いだ「狂気」の表現が、ここには詰まっている。




