逢引【単行本版】【FANZA限定特典付き】のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
正直に言うと、地味キャラは苦手だった
「クラスの地味な須賀森さん」というタイトルを見て、正直、少し警戒した。地味なキャラクターのエロ漫画は、ただのシチュエーションの道具にされがちだ。魅力が描き切れず、結局は巨乳や巨尻といった身体的特徴だけが前面に出て、心が通わない。そんな先入観を持ちながらページを開いた。しかし、外部評価(FANZA)では4.71点と非常に高い。これは単なる身体描写だけではない、何か別の魅力があるに違いない。佃煮という作者の名前にも、どこか期待を抱かせる温かみを感じた。
読み進めるうちに、彼女の全てが好きになった
物語は修学旅行の肝試しから始まる。主人公の大河くんが、クラスメイトの須賀森さんに気を遣い、結果的に二人きりになる。この導入からして、既に「関係性」へのこだわりが感じられる。偶然目撃したカップルの青姦に興奮が頂点に達し、大河くんが我慢できずに押し倒す――ここまではある種の定番だ。しかし、この作品の真骨頂はその「後」にある。
衝動的な初体験から始まった関係が、ページを追うごとに確かなものへと変わっていく。高校生編から大学生編へと時間が流れ、二人の距離感が少しずつ縮まっていく様子は、まさに「逢引」というタイトル通り。彼らが秘密を共有し、互いを求め合う過程に、思わずニヤけてしまった。地味だと思っていた須賀森さんの、内に秘めた積極性や、大河くんへの一途な想いが、丁寧に描き出されていく。これはもう、単なるエロ漫画ではない。二人の青春を追いかける、ちょっとエッチなラブストーリーだ。
佃煮の「肉」は、愛情で満たされている
画力についても一言述べたい。タグにある「巨乳」「巨尻」は確かに存在するが、佃煮の描くそれは、ただのデフォルメされた肉塊ではない。柔らかく、温もりがあり、そして何より「動き」がある。恥じらいながらも身体を預ける須賀森さんの仕草や、興奮で硬直する大河くんの描写からは、確かな観察眼と、キャラクターへの愛情すら感じる。この肉感、どうやって描いてるんだ、とページを食い入るように見てしまった。205ページというボリュームは、この成長物語を描くにはむしろ必要不可欠なページ数だ。
そして、ここに至る――関係性の「普通」が尊い
この作品で最も心が動いたのは、派手な陵辱シーンでも、過激なプレイでもない。むしろ、そんなものは一切ない。あるのは、互いを想い合う二人が、普通にデートをし、普通にキスをし、普通に結ばれる――その「普通」の積み重ねの尊さだ。特に大学生編では、環境が変わり、より自由になった二人の関係が、より深く、濃厚になっていく。学生服から私服へ、そして時には浴衣へと変わる服装も、彼女の魅力を多角的に引き立てる。全てが「成長」という一つのベクトルに向かっていることが、読んでいて非常に気持ちがいい。
「こいつの事なんて…今までなんとも思ってなかったのに…!!」という大河くんの心の声が、読者である自分の感情と完全に同期した瞬間があった。地味だと思っていた存在が、実は世界で一番輝いていると気付く。その過程を、エロシーンという最も赤裸々な形で見せてくれる。これはもう、推せる。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
迷わず単行本版を推す。205ページに加え、描き下ろし漫画「修学旅行前の須賀森さん」や新規イラストが収録された超ボリューム。シリーズ全話と番外編を一気に楽しめるコスパ最強の一冊だ。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
全く問題ない。『逢引』シリーズはこの単行本が初出となる作品をまとめたもの。1話から順を追って読めるので、むしろこれが全ての始まりとなる。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
タグやあらすじから判断するに、おそらくない。あらすじに「純愛から陵●まで」とあるが、これはレーベルのコンセプトを示すもので、本作は「純愛」寄りの内容と思われる。安心して感情移入できる。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
稀有なバランス型と言える。二人の関係性の成長というストーリー性がしっかりあるからこそ、エロシーンに感情が乗り、実用性も高まる。どちらかだけを求める人よりも、両方を楽しみたい人に刺さる作品だ。
地味な子こそ、宝石の原石である
最終的に、この作品はSランクと評価せざるを得ない。それは、単に画力が優れているからでも、エロシーンが濃厚だからでもない。一組の男女の、どこにでもありそうでいて、とても尊い関係の「機微」を、これほど丁寧に、温かく、そしてエロティックに描き切ったからだ。電車では絶対に読むな。これは忠告だ。ニヤけが止まらなくなり、思わずページを撫でてしまうような、そんな幸福感に満ちた作品である。恋愛とエロの幸福な一致点を求めている全ての人に、自信を持って薦められる一冊だった。
