持つべきものは!(2)のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
正直に言うと、こういうのでいいんだ
「持つべきものは!(2)」というタイトルを見て、まず思った。前作の続きか、と。そしてタグの「ラブコメ」「幼なじみ」を見て、ある種の安心感を覚えた。最近は複雑な人間関係や過激なプレイが目立つ中で、これはシンプルに仲の良い二人の話だ。よこやまんじろう先生の「もち肌」というキーワードにも期待が膨らむ。しかし、13ページという短さが気になる。このページ数で、きちんと関係性の機微とエロさを両立できるのか。正直、一抹の不安があった。これは、覚悟して読んでほしい。
読み進める中で、距離感が溶けていく
冒頭から、シキとワタルの関係性が心地よい。放課後のゲーセンやラーメンという、どこにでもある日常が描かれる。失恋を慰めた過去を共有する「友人以上」の間柄。その緩やかな空気感が、ページをめくる手を軽やかにする。そして、ガンシューティングゲームでの勝負。ここで、シキの大胆な行動が火蓋を切る。負けそうになった彼女が取った手段は、下着チラ見せでワタルの集中力を乱すことだった。
このイタズラが、全ての始まりだ。フェチ・アナリスト視点で言えば、学生服のスカートから覗く下着の描写は、ごくわずかだが効果的だ。隠すことによる露出以上の煽りを生んでいる。ワタルが「邪魔された」と反撃に転じる流れは、自然であり、必然だ。二人の間に張られていた「友人」という薄い膜が、ゲーム内の敵ではなく、お互いへの欲求によって破られていく過程が実に巧みだ。思わず「わかってる。作者、わかってる」と呟いてしまった。こういう小悪魔的なイタズラから始まるエスカレーションは、最も胸が高鳴る。
公共の場という非日常性
そして舞台が「ゲーセン内」であることが、この作品のスパイスとなる。あらすじにあるワタルの台詞「お…おい!? ここゲーセンだぞ!!」が全てを物語る。公共の場という緊張感が、二人の行為をよりドキドキしたものに変える。周囲に気づかれないかという「羞恥」の要素が、タグには明記されていないが、おそらく作品の重要な香辛料として機能していると思われる。閉じた空間ではなく、開かれた場所でこそ際立つ、親密さと背徳感のコントラスト。このシチュエーション選択は秀逸だ。
そして、ここに至る、あの圧倒的な親密感
最も感情が動いたのは、襲い掛かるというよりは「流れ込んでいく」ような性交の描写だ。公共の場という非日常の中にあるが、二人の関係そのものは極めて日常の延長線上にある。失恋を慰め合った過去を持つからこそ、身体の交わりにもどこか安心感が滲む。これは単なる衝動ではない、信頼に基づく欲情だ。
よこやまんじろう先生の「もち肌」の表現はここで真価を発揮する。柔らかく、温もりを感じさせる肌の質感。美乳とタグにある通り、造形の美しさも損なわない、健康的でみずみずしい肉体。触覚まで伝わってきそうな描写に、思わず「この肉感、どうやって描いてるんだ」と唸った。エロシーンは、激しさよりも、ぎゅっと抱き合うような濃密な親密感が主体だ。フェラチオの描写も、サービスというよりは、自然な流れの中での愛撫の一環として組み込まれているように感じた。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
本作は13ページの「単話」作品です。よこやまんじろう先生の単行本に収録される可能性はありますが、現時点では単話での購入が唯一の選択肢となります。気に入ったら作者の他の作品もチェックするのが良いでしょう。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
問題なく楽しめます。あらすじに「失恋で落ち込んだワタルをえっちで慰めた後」とあるように、前史は簡潔に説明されています。今作はその後の「続編」ですが、一つの完結したエピソードとして十分成立しています。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
タグやあらすじから判断する限り、地雷と思われる要素はありません。純粋な幼なじみ同士のラブコメ調の作品です。公共の場というシチュエーションによる羞恥プレイの要素はありますが、それは両者の合意に基づく流れの中で描かれています。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
良好な関係性を土台にした「実用性」が強い作品です。13ページの中でキャラクターの関係性を丁寧に描き、そこから自然にエロに発展させるため、感情移入しやすく実用性も高い、いわば理想的なハイブリッド型と言えます。画力の高さも実用性を後押ししています。
友情のその先にある、幸せな体温
総合してAランクと評価する。ページ数が13Pと短いため、大長編のような深いドラマはない。しかし、その短さが逆にこの作品の良さを引き立てている。無駄のない構成で、仲の良い男女の関係が少しずつ色づき、熱を帯び、最後には互いを確かめ合うまでが一気に描かれる。読後感は、ほんのり温かく、満たされた気分だ。よこやまんじろう先生の画力は、もち肌と美しい身体のラインで、視覚的な美しさを存分に提供してくれる。これは、複雑なものを求めず、純粋に「仲良しカップルの幸せなエロ」を楽しみたい全ての人に推せる一作だ。買ってよかった。

