comicアンスリウム Vol.81 2020年1月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
アンソロジーの真価は「選択の自由」にある
単一作家の世界観に没入するのも良い。しかし、アンソロジー誌が提供するのは「多様性」という別の価値だ。comicアンスリウム Vol.81は、471ページという膨大な紙面に、20近くの異なる作風とシチュエーションを詰め込んでいる。ここでの問いは、この「選択の自由」が、読者にどのような体験をもたらすかである。単行本では得られない、複数の作家によるクリスマスという共通テーマの解釈の違い。あるいは、シリーズものの途中経過を追う楽しみ。これらが、この分厚い一冊を手に取る理由となる。
471ページが物語る、濃密なバラエティの証拠
あらすじからは、この号がいかに多角的なアプローチで「エロス」に迫っているかが読み取れる。単なる寄せ集めではなく、明確な編集意図が感じられる構成だ。
季節感と定番シチュの融合
表紙が「クリスマス娘」であることから、季節的なテーマが前面に出ていることがわかる。しかし、内容はそれに縛られない。野外キャンプ、南国離島、オフィス、図書室、異世界と、舞台は多岐に渡る。クリスマスという「非日常」の空気感を背景にしつつ、様々な日常と非日常の隙間をえぐる作品群。これにより、単一のムードに飽きることなく、読み続けられるリズムが生まれている。季節ものは時期が過ぎると陳腐化しがちだが、バラエティ豊かなシチュがそれを補っている。
シリーズ継続と新規読者の両取り
「奉仕種族シリーズ第9弾」「異世界転生SEXファンタジーエピソード5」など、継続中のシリーズが複数含まれる。これは、定期購読者へのリターンであり、世界観の深化を追える楽しみを提供する。一方で、「初めて黒ギャルに」といった明確な導入や、独立した読み切り作品も多く、新規読者にも門戸は開かれている。このバランスが、アンソロジー誌としての持続可能性を支えている構造だ。
画風のコントラストが生む視覚的刺激
あらすじに登場する作家の名前から、画風の幅広さが推測できる。あるぷ先生のフルカラー作品から、ギャグタッチの作品まで。ページをめくるたびに、線のタッチ、肉体の描き方、コマ割りのリズムが変わる。これは、視覚的な「新鮮さ」を絶えず供給する装置である。一つの作風に疲れたら、すぐ次に移れる。この号を読み終わる頃には、自分が無意識に求めていた「好みの画風」が、より明確になっているかもしれない。正直、このボリュームで様々な画風を試せるのは、コスパが良いと思った。
雑誌というメディアの、今だからこその強み
デジタル単話購読が主流の今、分厚い雑誌を手に取る意味はどこにあるのか。第一に「発見」の機会だ。知らない作家の作品が、たまたま隣のページにあり、それが好みの作風である可能性。単独では購入しないジャンルに、軽い気持ちで触れられる機会。第二に「同時性」である。これだけの作家陣が、同じ「2020年1月」というタイミングで作品を発表している。時代の空気や、流行の描写技法が、異なる解釈で並置される様は、一種の文化史的資料とも言える。同人誌即売会のアンソロジーとはまた異なる、商業誌ならではのクオリティとボリュームが、この雑誌の立ち位置を確かなものにしている。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
本誌は「多様性」が売りです。特定の作家が好きなら単行本や単話を、様々な作家やシチュを楽しみたいなら、この471ページの雑誌が圧倒的コスパです。1ページ単価は雑誌が有利です。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
ほとんどの読み切りは問題ありません。シリーズ物(第○話)も、おそらくその回だけで完結する形で描かれているため、楽しめるでしょう。むしろ、気に入れば過去作を探すきっかけになります。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
あらすじに「NTRの魅力とは…」という作品や、「輪●」といった表現があるため、苦手な方は注意が必要です。ただし、全編がそれらというわけではなく、純愛系やコメディも混在しています。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
作家によりけりです。短編でシチュエーションを効率よく展開する実用性重視の作品もあれば、ギャグやファンタジー要素の強い作品もあります。多種多様な「エロスの表現形式」を味わうものと捉えるのが良いでしょう。
多様性という名のエンターテインメント
この一冊は、ある一つの頂点を目指す登山ではなく、様々な景色を楽しむドライブのようなものだ。全ての作品が自分の好みにハマることはない。しかし、その中に、予想外に刺さる作画や、忘れられない一コマとの出会いがある。外部評価(FANZA)では5.00点(1件)と、評価件数は少ないものの、満足度の高さが窺える。総合的に、多様なエロ漫画の「現在地」を一度に体験できる、貴重なアンソロジーである。画風の違いを楽しむ余裕がある読者には、十分な読み応えを約束してくれる一冊だ。





