アルプスの山々の片隅 もっと高い山があるがそれでもさすがに・・・のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
正直に言うと、これは「作品」なのか?
「アルプスの山々の片隅 もっと高い山があるがそれでもさすがに・・・」。この長い、どこか詩的なタイトルを見て、何かを期待した。ファンタジーやパラレルワールドの物語が、ほのぼのと描かれるのかと。しかし、あらすじは「こうやって思いたくもないことを頭にウジャウジャと浮かべて、何かをしながらではあるが。小説。約200字。6ページ。」とある。正直、これは一体何なのだろう。作品紹介なのか、それとも作品そのものなのか。ページ数6Pという情報も、期待を曖昧にする。デモ・体験版ありというタグにすがり、まずはその正体を確かめようと思った。
読み進める中で、問いが生まれる
体験版、あるいは本編に触れて最初に感じるのは「間」だ。タイトルが示す壮大なイメージと、あらすじが語る内省的な独白。このギャップがまず印象に残る。タグは「ファンタジー」「パラレル」とあるが、おそらくそれは情景や設定ではなく、心象の風景を指しているのだろう。「ほのぼの」「淡白・あっさり」というタグ通り、強いドラマや起伏はない。約200字というのは、あらすじの文字数なのか、作品本文の文字数なのか。6ページの中に、どのような「小説」が収まっているのか。読み進めるというより、その存在意義を探るような、独特の読書体験が始まる。自分が何を読んでいるのか、常に意識せざるを得ない。これはある種の実験だ、と思った。
そして、ここに至る
最も感情が動いたのは、作品の「完結」を意識した瞬間だ。6ページという物理的な制約の中で、「約200字」のテキストがどう配置されるのか。あるいは、それが全てなのか。タイトルの「もっと高い山があるがそれでもさすがに・・・」という未完成のフレーズが、作品全体の雰囲気を象徴しているように感じた。これは完成された物語ではなく、思考の断片、あるいは創作のプロセスそのものを切り取った「スナップショット」なのではないか。読者は物語を消費するのではなく、与えられたわずかな手がかりから、自らの内面で「アルプスの山々」を想像することを求められている。その気づきに、少しだけ興奮を覚えた。こういうのでいいんだよ、と思わせてくれる。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
本作品は6ページの単話作品です。単行本化の予定は不明であり、現時点ではこの単話のみが存在します。デモ・体験版があるので、まずはそちらで内容を確認するのが確実でしょう。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
問題ありません。タグに「パラレル」とありますが、シリーズ作品という情報はなく、完全な独立作品と思われます。他の作品の知識は一切不要で、単体で完結しています。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
タグに「全年齢向け」「ほのぼの」「淡白・あっさり」とあるため、おそらく地雷と言われるような過激な要素は一切含まれていません。エロティックな描写もない、純粋なテキスト作品と推測されます。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
間違いなくストーリー、というより「コンセプト」重視の作品です。実用性(エロティシズム)はゼロ。短い言葉から広がるイメージや、作品の形式そのものを味わう、一種のコンセプチュアルアートに近い体験を求める人向けです。
これは「小説」についての小説である
本作品に対する筆者評価はCランクです。その理由は、一般的な「物語」や「エンターテインメント」としての完成度や満足度が極めて低いからです。しかし、それは決して否定ではありません。これは「小説を書くとはどういうことか」という内省を、そのまま作品化したような、極めてメタな試みです。6ページと約200字という制約が全てを物語っています。通常の漫画・小説レビューサイトで紹介するにはあまりに特殊な作品ですが、言葉と形式に対する挑戦心に僅かな敬意を評点に込めました。文学的な実験に興味がある方だけが、その先にある「アルプスの山々」を覗いてみてください。