comicアンスリウム Vol.53 2017年9月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
600ページの巨大な性欲の坩堝
オナニー動画がバレた陸上部JKの生配信。修学旅行で自慰に耽る清楚女子。酔った先輩との野外SEX。尊敬する生徒会長との放課後イチャラブ。一冊の中に、ありとあらゆる「もしも」が詰め込まれている。これは単なる雑誌ではない。20名以上の作家が情熱を注いだ、巨大な性欲の坩堝だ。ページをめくるたびに、別の世界、別の女の子、別の快楽が待ち受ける。一本の道筋ではなく、無数の分岐路が広がる森のような体験。あなたの好みのシチュエーションは、必ずどこかにある。
雑誌ならではの「多様性」が武器
単行本や単話では味わえない、アンソロジー雑誌の最大の魅力はその多様性だ。あらすじから推測される通り、本作には純愛からNTR、ツンデレから積極的ギャル、清楚系からビッチまで、あらゆるタイプのヒロインが登場する。タグにある「処女」「超乳」「ツンデレ」「巨乳」は、そのほんの一部でしかない。一つの作品に深くハマることもできるが、次々と変わるテイストを浅く広く楽しむ「つまみ食い」もまた乙だ。今日の気分に合わせて読みたい話を選べる。この「選択の自由」が、596ページという膨大なボリュームを飽きさせない。正直、このページ数でこの価格はコスパが良いと思った。
刺さるシチュエーションの宝庫
あらすじに列挙された数々のシチュエーションは、どれもが明確な「萌えの起点」を持っている。それは読者の想像力を容易に刺激し、没入への扉を開く。
「バレた」のドキドキと興奮
小春七草先生による「オナニー動画が同じ部活の男の子にバレちゃって…!?」は、現代的な羞恥プレイの典型だ。最も恥ずかしいプライベートが他人に知られる恐怖と、そこから派生する不可逆的な関係性の変化。この「バレた」瞬間のヒロインの表情と、その後の展開にこそ本作の真骨頂がある。由浦カズヤ先生の「大学サークルで交錯する嫉妬と肉欲のドラマ」も、人間関係が複雑に絡み合う中での背徳感が堪らない。こういうのでいいんだよ、と思わせてくれる。
環境と行為の非日常的コントラスト
あしもと☆よいか先生の「修学旅行の宿で自慰に耽ってしまった少女」や、小倉脩一先生の「酒乱な先輩との野外SEX」は、非日常的な空間での行為が醸し出す緊張感が魅力だ。普段は慎ましい場所や状況であるからこそ、そこで繰り広げられるエロスはより輝き、より罪深く感じられる。特に修学旅行という集団行動の中での「こっそり」という要素は、読者を共犯者に仕立て上げる効果抜群だ。
関係性の歪みと快楽の萌芽
EBA先生の「デート中に兄にハメられる恐怖」や、ネプカ先生の「水泳部JKと既婚者コーチの淫らなカンケイ」は、力関係や立場を利用した、あるいは歪めた関係性を描く。タグから推測される「処女」の要素がここに加われば、その背徳感と征服感は倍増する。まめこ先生の「愛するあまり、大好きな執事を監禁するお嬢様」のように、立場が逆転するケースも興味深い。関係性の力学そのものが興奮の源泉となる作品群だ。
作家の個性が光る「肉」の描き分け
20名以上の作家が集うため、画風や表現は実に多様だ。しかし、アンソロジーでありながら一定のクオリティが保たれている点は評価できる。あらすじに「もねてぃ先生がカラーで描くビッチな黒ギャル」とあるように、カラー頁ではビビッドな色使いでキャラの魅力を引き立てている。巨乳・超乳タグが多数を占めるため、肉感の表現は各作家の腕の見せ所だろう。柔らかく弾むような質感、重量感のあるたわみ、汗や愛液の光沢。同じ「巨乳」でも、清楚系ヒロインのそれと、積極的ギャルのそれとでは、描き分けで性格まで表現されているはずだ。思わず「この肉感、どうやって描いてるんだ」とページを食い入るように見てしまった作家も数名いた。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
本作は雑誌(単話の集合体)です。20話以上が約600ページに収録されており、単行本1冊分以上のボリュームがあります。多種多様な作家とシチュエーションを一度に楽しみたいなら、間違いなく本誌がお得です。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
ほとんどの作品は単発または完結編です。あらすじにある「最終話」や「第2話」など一部シリーズものはありますが、それぞれの話として独立して楽しめるように作られているのが雑誌の特徴です。気に入った作家のシリーズものがあれば、そこから遡る楽しみ方もできます。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
あらすじから推測すると、NTR(由浦カズヤ先生)、近親姦(EBA先生)、監禁(まめこ先生、あらいぐま先生)などの要素を含む作品が収録されています。一方で純愛ものも多数あり、好みに合わせて選んで読むことが可能です。スカトロや過度なグロ描写はなさそうです。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
作家によりけりですが、全体的には「シチュエーションの魅力」と「実用性」を両立させた作品が多い印象です。ピュアなイチャラブからドロドロの人間劇までストーリー性の高いものもあれば、プレイや絵のエロさを前面に押し出したものもあり、バランスが取れています。
性癖の見本市で、新たな「推し」を発見せよ
本作をAランクと評価する。その理由は、圧倒的なボリュームと多様性が、確実に読者に「刺さる何か」を提供してくれるからだ。全ての話が最高というわけではない。それは雑誌の宿命である。しかし、20人以上の作家の作品が詰まっているということは、その中に「自分だけの推し作品」や「新たにハマる作家」を見つける可能性が非常に高いということだ。596ページは、未知の性癖との出会いへの投資である。自分が知らなかった好みを、この雑誌が教えてくれるかもしれない。





