comicアンスリウム Vol.36のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
正直に言うと、アンソロジーは当たり外れが大きい
アンソロジー雑誌を手に取る時、いつも複雑な気持ちになる。好きな作家が1人いれば買う。そんな基準で選んできた。だから「comicアンスリウム Vol.36」を見た時も、正直なところ期待はしていなかった。20名以上の作家が集まるということは、その分、好みに合わない作品も含まれる。441ページというボリュームは魅力的だが、果たして最後まで飽きずに読めるだろうか。単に「詰め合わせ」で終わらないか。そんな疑念を抱きながらページを開いた。
読み進める中で、雑誌の「編集力」に気づく
最初の数作品を読み終えた時点で、自分の予想が外れ始めた。作品間のテンポが絶妙なのだ。キュンとする純愛系の後には、少し背徳感のあるシチュエーションが続く。画風も、ポップで可愛らしいものから、美麗で緻密なものまで幅広い。これは単なる寄せ集めではない。読者の興味を引き継ぎ、緩急をつける「編集」の意図が感じられる。特に、連載作品と読み切りが交互に配置されている構成は秀逸だ。一つの世界観に浸りきる前に別の刺激が訪れる。深夜に読み始めて、気づいたら空が白んでいた。そんな没頭感を生み出していた。
作家の顔ぶれが物語るクオリティ
掲載作家を見渡すと、実力派から期待の新人までがバランスよく配されている。士郎正宗、きくらげ、クール教信者といった著名作家の名前は安心感を与える。一方で、本誌漫画大賞受賞者など新鋭の力も存分に発揮されている。この「新旧混在」こそが、アンソロジー雑誌の真骨頂だと思った。自分の中の「推し」作家を見つける楽しみ。そして未知の作家との出会いの興奮。この一冊には、その両方が詰まっている。
そして、ここに至る。多様性こそが最大の武器
最も感情が動いたのは、作品の「多様性」そのものを実感した瞬間だ。純愛から凌辱、おねショタから百合、現代ものから幻想ものまで。あらすじにある「あらゆるシチュエーション」という言葉は誇張ではなかった。例えば、誉先生の「美女×怪物」という幻想エロスと、ユズハ先生の「青春カップルウラ事情」という日常系の隠れエロスが同じ誌面に同居する。このコントラストが、かえってそれぞれの作品の魅力を引き立てている。一つの性癖に縛られない。むしろ、知らなかった自分の好みを発見させてくれる。これがアンソロジーを読む醍醐味だと、改めて唸った。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
本作は雑誌(単話)です。441ページで20名以上の作家を味わえるコスパは非常に高い。特定の作家の単行本を追うよりも、まずはこの雑誌で幅広く作品に触れ、好みの作家を見つける「きっかけ」として最適です。連載作品の途中からでも問題なく楽しめます。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
ほぼ問題ありません。多くの読み切り作品は独立しているため、すぐに没頭できます。連載作品(きくらげ先生、クール教信者先生など)も、各話である程度完結する形をとっているものが多く、ストーリーを追いやすい配慮が感じられます。安心して飛び込めます。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
あらすじから推測すると、「凌●」や「NTR」を扱った作品が含まれる可能性があります。また、妖怪や怪物との絡みなど、やや特殊な嗜好に寄った作品も見受けられます。アンソロジーなので、全ての作品が万人向けとは限りません。気になる作品は飛ばして読むこともできます。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
作家によって大きく異なります。きくらげ先生の「キュンラブH」のようなストーリー性の高い作品もあれば、実用性を重視した肉感たっぷりの作品もあります。この「バラエティの豊かさ」が本誌の特徴です。どちらか一方だけを求めるのでなく、両方楽しめる懐の深さが魅力です。
アンソロジーの可能性を再認識させられる一冊
総合的にBランクと評価する。その理由は、万人に強く推せる「尖り」が特定の一点に集中していないからだ。しかし、これは欠点ではない。むしろ、多種多様なエロスを一度に体験できる「見本市」としての価値が極めて高い。外部評価(FANZA)では5.00点(1件)と、限られた評価ではあるが満足度の高さが窺える。画力の平均レベルは高く、ストーリーも作家ごとの個性が光る。エロさの方向性は多岐に渡るため、全てが刺さる読者は少ないかもしれない。だが、少なくとも一つや二つは「当たり」を見つけられるはずだ。アンソロジー雑誌の面白さを忘れかけていた自分に、その可能性を再教えてくれた一冊だった。





