COMICクリベロン Vol.12のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
「恥部丸出し」の宣言通り、多様なエロスが詰め込まれたアンソロジー
2013年に発売されたオール描き下ろしコミック誌、『COMICクリベロン Vol.12』。その副題は「女の子の恥部丸出し号!!!!!」。この挑発的なキャッチコピーが示す通り、本誌は「恥ずかしさ」という感情を多角的に解剖し、視覚化する実験場だ。収録された7作品は、純愛から猟奇まで、ジャンルも作風も幅広い。共通するのは、女の子の「一番恥ずかしいトコロ」を、それぞれの作家が独自の美学で描き出そうとする意志。111ページというボリュームは、当時の読者にとって、様々な性癖のサンプルを一度に味見できる貴重な機会だった。正直に言う。この手のアンソロジーは玉石混交が常だが、本誌は「玉」の割合が高い。
多様性こそが最大の武器:三つのアプローチ
「恥ずかしさ」の描き方は作家によって大きく異なる。あらすじから読み取れる、主に三つのアプローチを分析する。
1. 日常の中のズレを利用する「恥じらい」
虎助遥人「アレ好きな彼女」は、その典型だ。カップルによる身体測定という、一見無害な遊びが、次第にエスカレートする。この作品の「恥ずかしさ」は、非日常的な暴力ではなく、親密な関係性の中での「悪ノリ」から生まれる。彼氏のチ○ポの長さを測るという行為は、科学的な好奇心と性的な興味の境界線を曖昧にする。服を脱がされるのではなく、自ら進んで恥ずかしい場所を見せる、という能動性が、独特の「ウブカワ」さを醸し出している。コスプレやハメ撮りといったタグから推測されるが、こうした等身大の恥じらい描写は、過激な作品群の中にあって重要なアクセントとなる。
2. 幻想世界に宿る「痛々しいほどの恥辱」
対極にあるのが、locon「嬲りの城」やおにちくねる「愛玩妖精秘話」だ。これらの作品は、非現実的な舞台設定を借りて、恥辱と快楽の境界を徹底的に探求する。妖女に弄ばれる「性玩美童」や、鉱夫たちに凌●される無垢な妖精。その描写は、あらすじにある「痛々しすぎるほどの凌●」という表現が示す通り、視覚的な美しさと精神的な蹂躙が同居する。ここでの「恥ずかしさ」は、社会的なものではなく、存在そのものへの侵犯として描かれる。絵柄の美しさと内容の過激さのコントラストが、読者の嗜虐心に直接訴えかける構造だ。
3. 現代的な欲望の「暴走」としての恥辱
香月りお「催●アプリ」や山田ワイト「真面目な優等生が…」は、現代的な文脈で「恥ずかしさ」を更新している。声優オタクがアイドルを拉致る、あるいは同級生の小説家に卑猥な行為を強要する。これらのシチュエーションは、インターネットと現実が交錯する現代ならではの欲望の暴走を描く。コスプレタグは、ここでは「憧れのキャラクターになりきらせる」という支配の手段として機能している。ハメ撮りタグも同様で、記録されることによる永遠化が、さらなる恥辱の深度を生む。これは、当時すでに顕在化していた、デジタル時代の新しいフェティシズムを先取りした描写と言える。
2013年という時点でのアンソロジー誌の価値
今日では作家の個人活動が主流だが、2013年当時、こうしたアンソロジー誌は重要な発信の場だった。特に本誌のように、小桜クマネコ、香月りお、locon、成島ゴドーなど、確固たる画風と作風を持つ作家が一堂に会する機会は貴重だ。読者は一冊で、劇画タッチの重厚なエロティックサスペンス(成島ゴドー)から、色彩鮮やかな過激調教劇(香月りお)、ファンタジー色の強い凌辱もの(おにちくねる)まで、様々な「肉」の描き方を比較検討できた。これは、自分の好みの「肉感」や「ライン」を探求する視覚派読者にとって、最高の教材となったはずだ。各作家が腕を競い合うような熱量が、ページの端々から伝わってくる。この画力の饗宴には参った。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
本作は雑誌(単話)です。収録作家の単行本を既に持っている場合は、重複作品がある可能性があります。逆に、様々な作家の作品を一度に楽しみたいなら、このアンソロジー形式は非常にコスパが良いと言えます。111Pというボリュームは単行本並みです。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
収録作品の多くは連載ものの途中ですが、あらすじを見る限り、各話で完結する形になっているようです。例えば「媚肉蜜猟区」は長編サスペンスですが、その話の中での事件は一応の決着を見せます。シリーズ全体の深みは減りますが、単体でも充分に楽しめる構成です。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
あらすじから判断するに、暴力や凌辱を主題とした作品が複数収録されています(例:嬲りの城、愛玩妖精秘話、催●アプリ)。純愛系は「アレ好きな彼女」など一部です。過激な描写を苦手とする方は、作品を選んで読む必要があります。スカトロなどの特殊描写については情報がなく、おそらくないと思われます。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
作品によって大きく異なります。成島ゴドーや尾野けぬじの「媚肉蜜猟区」はストーリー性が強く、山田ワイト作品はシチュエーションの趣向が光ります。一方、香月りおやloconの作品は、過激な描写そのものを前面に押し出した実用性重視の傾向があります。一冊で両方を味わえるのが本誌の特徴です。
多種多様な「肉」が味わえる、ある時代の断面
『COMICクリベロン Vol.12』は、一枚の絵として完成された単行本ではなく、多様な作家の「今」を切り取ったタイムカプセルだ。その価値は、完成度の均一性ではなく、多様性そのものにある。純愛から猟奇まで、様々な角度から「恥ずかしさ」と「女の子の身体」が描き出される。画風も劇画から萌え系まで幅広く、視覚的な比較考察に最適だ。全ての作品が自分の好みに合うとは限らない。しかし、少なくとも一つや二つは、強烈な印象を残す作品に出会えるだろう。111ページという分量は、その探索に十分な広がりを与えてくれる。自分は「愛玩妖精秘話」の、無垢さと残酷さの対比にやられた。これは保存版だ。総合的に見て、特定のジャンルに特化した単行本ほどの尖りはないが、エロ漫画というメディアの懐の深さを感じさせる一冊である。





