COMICグーチョ vol.16 2023年06月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
「ハメを外す」とは、こういうことだ
「COMICグーチョ」というタイトルが示す通り、このアンソロジーは「ハメを外す」ことに特化している。日常の常識や倫理観を一旦脇に置き、欲望に忠実な「チンハメコミュニケーション」を追求する。今回のvol.16は、その編集方針を体現するかのようなラインナップだ。表紙の「食べごろ神乳お姉さん」からして、迷いのない直球のエロスを宣言している。正直に言う。この号は、王道からやや外れたシチュエーションを好む読者を、確実にターゲットにしている。
背徳のエロスが詰まった6つの物語
あらすじから読み取れるのは、一貫して「日常からの逸脱」というテーマだ。収録された6作品は、それぞれが異なる形で社会通念や個人の意志を超えた性愛を描く。これが、この号の核となる魅力だ。
権力関係の逆転と崩壊
「篠宮リカの催●レポート」と「畏愛アルバイト」は、一見優位な立場にある女性が、その立場を利用され、あるいは逆転される物語だ。頭脳明晰な理系女史が先輩たちの不満の対象となり、全身黒ずくめの女性たちに搾り取られるママ活バイト。どちらも、社会的な力関係が性的な支配・被支配の関係に変換される瞬間に焦点が当てられている。タグから推測すると、羞恥や服従といった要素が強く、権威の崩壊を見たいという欲求に応える内容と思われる。
我慢と解放のコントラスト
「絶頂我慢!ラブホ女子会」と「恋ばする惑星」は、対照的なアプローチを取る。一方はローターを入れながらイクのを我慢するという「抑制」の快楽を、もう一方は理性のリミッターを解除し互いを貪り合う「解放」の快楽を描く。このコントラストが、号全体にリズムを与えている。特に女子会シリーズは第4弾とのことで、一定のファン層を確立している人気作だろう。継続して購読している読者には、より深い楽しみ方ができるはずだ。
関係性の歪みと変質
「僕の姉ちゃんが堕ちるまで」と「ストーキングJK」は、人間関係の歪みから生じるエロスを扱う。幼馴染みの「メス堕ち」や、女子校生による中年男性への「逆レ●プ」。どちらも純愛とは対極に位置し、脅迫や薬物といった非対称な力によって関係が強引にねじ曲げられていく過程が描かれる。ここには、健全な恋愛では得られない、どこか後ろ暗い興奮がある。この手のシチュエーションに抵抗がなければ、強烈な印象を残す作品群だ。
アンソロジー誌という選択の意味
同人誌や単行本ではなく、アンソロジー誌を手に取る意義は何か。それは「発見」にある。126ページの中に6人の作家が詰め込まれた本号は、いわばエロ漫画のトレンドを凝縮した試食会だ。かに村えびお、十はやみ、阪本KAFKAなど、既に人気を確立している作家から、これからを知る新鋭まで、多様な「肉」が味わえる。特に十はやみ先生の単行本が7月発売予定とあれば、その前哨戦としての価値も高い。一つの作家、一つの性癖に縛られず、広く浅く楽しみたい読者にとって、アンソロジーは最適なフォーマットだ。自分は、この号で「畏愛アルバイト」の世界観にやられた。あの不気味で官能的な空気感は、単行本が待ち遠しい。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
単行本は作家ごとの世界観を深掘りでき、コレクション性が高い。一方、このようなアンソロジー誌は複数作家の作品を一度に楽しめ、新たな好みの発見に優れる。126ページで6作品はコスパ良好。まずはアンソロジーで気になる作家を見つけ、その単行本を追うのが理想的だ。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
ほぼ問題ない。各作品は完結している。「絶頂我慢!ラブホ女子会」はシリーズ4作目だが、基本設定は単話完結型と思われる。アンソロジー誌は新規読者の獲得を意識して作られるため、どの号から読んでも楽しめる設計になっていることが多い。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
あらすじから判断するに、強制・陵辱的な要素(催●、犯●れる、強●孕ませ等)を含む作品が複数収録されている。暴力描写の有無や程度は不明だが、合意に基づかない性的関係を主題とする話が多いため、純愛や健全な恋愛ものを求める読者には不向きだ。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
シチュエーションの設定(背徳感、我慢、関係性の歪み)を重視した作品が中心で、そこにエロスが乗っかる構造だ。緻密な長編ストーリーよりは、強烈なシチュエーションとその中での女体描写、絶頂表現を楽しむ「実用性」寄りのアンソロジーと言える。
背徳の宴に、あなたは何を求めるか
総合すると、COMICグーチョ vol.16は「背徳感」という一つの軸で多様なエロスを提示した、クセの強いアンソロジーだ。全ての作品が万人向けではないが、その分、求めている読者には刺さる可能性を秘めている。126ページというボリュームは、読み応えがあり、未知の作家との出会いも期待できる。表紙の空巣先生をはじめ、作画レベルも一定以上の水準を保っている。強制的な要素を含むため選別は必要だが、日常から逸脱したエロスを求めるのであれば、一度は手に取ってみる価値はある。自分は「こういうのでいいんだよ」と、ある種の開き直りを感じさせてくれる号だった。
