COMIC外楽 Vol.024のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
異種族愛の可能性を広げる、多彩なアンソロジー
「COMIC外楽」というタイトルを見て、何を想像するだろうか。外の世界、異なるもの、あるいは「外道」の「外」か。実際に手に取ってみると、その答えは「人外」だった。この雑誌は、人間と人間以外の存在との恋愛、そして性愛を描くことに特化したアンソロジーコミックだ。Vol.024を読み終えて、しばらく放心した。その理由は、単なる「変態」や「過激」という次元を超えて、異種族間の関係性を真摯に、時に愛おしく描き出している作品が揃っていたからだ。141ページというボリュームは、異種族愛という一つのテーマの下で、いかに多様な物語が紡げるかを証明している。
「人外」の定義が広がる、四つの物語
表紙を飾るケンタウロスからして、この雑誌の方向性を雄弁に物語っている。しかし、単なるモンスターガールものとは一線を画す。収録作品はそれぞれが独自の世界観と関係性を構築し、「人外」という概念そのものを拡張してみせる。
触手との共同生活が生む、新たな英雄と欲望
「奥ヴぁ/戦士ちゃんと触手くん 第6話」は、連載のクライマックスを迎える。人間の女戦士アビィと触手のティーくんは、異種族での子作りという目的でパーティを組み、冒険を続けてきた。面白いのは、その過程で二人が街の人々から「英雄」として慕われるようになる点だ。あらすじによれば、その名声がかえって二人の気軽な性的関係を阻害し、欲望を蓄積させていく。ついには街のど真ん中で「ヤろう!今!ここで!」と宣言するに至る。公共の場というスリルと、溜まりに溜まった性欲の爆発。この組み合わせが、単なる触手プレイを超えた興奮を生み出している。正直、この「英雄の痴態」という構図には参った。
ゴブリン娘との生活から芽生える、歪んだ愛情
「脱穀次郎/バケモノを愛して」は、勇者と非力な女ゴブリンの主従関係から始まる。勇者が奴隷市場で彼女を買い、冗談で言った「夜のお世話」を真に受けて関係が始まるという、ある種ずれた出会いだ。しかし、あらすじから推測するに、一方的な嬲りがエスカレートする中で、女ゴブリン側にも「遂に耐えかねて」という感情の変化が訪れる。力関係が明らかに不平等な関係が、どのように変容し、あるいは深まっていくのか。ゴブリンという比較的ポピュラーなモンスターを題材にしながら、心理描写に重点を置いた作品と思われる。
幼少期の思い出が、12年後に現実になる
「トリブリ/人妖純愛養生訓」は、最も「純愛」に近い雰囲気を漂わせる。幼い頃に一目惚れした烏天狗の女性「カラス様」を、12年経った今も想い続ける木こり・檜介。その彼女が傷ついて彼の前に現れるという、運命的な再会から物語が動き出す。妖怪と人間、そして時間を越えた恋物語。この作品は、異種族愛における「ロマンス」の部分を強く打ち出しており、ファンタジー恋愛漫画としても成立する厚みを持っているだろう。画力の差はあれど、こういうのでいいんだよ、と思わせてくれる作品だ。
自然を慈しむ男と、池の蛙神の静かな恋
「/みどりの池」は、山奥の池に住む蛙神「みどり」と、釣りに来る人間の男「トンボ」の物語。自然を敬う彼の姿に、神様であるみどりが惹かれていくという、ごく静かで穏やかな出会いが描かれる。他の作品が戦士や勇者、あるいは都市を舞台にしているのに対し、この作品は自然そのものが舞台であり、神と人間という、より精神性の高い異種族関係を扱っている。ほのぼのとしたタッチの作画が予想され、ジャンル内でのアクセントとして機能している。
アンソロジー故の「当たり外れ」感はあるか
複数の作家による作品を収録するアンソロジー形式である以上、読者の好みが分かれる点は否めない。今回のVol.024では、激しい触手プレイからほのぼの神様恋愛まで、作風とシチュエーションの幅が非常に広い。一つの作品にどっぷりハマりたい読者にとっては、話が変わるたびに世界観や絵柄がリセットされる感覚は、やや物足りなさに繋がる可能性もある。逆に言えば、異種族愛というジャンルの中でも「自分はどのタイプが好きか」を探る、いわば試飲セットのような価値がある。自分は「戦士ちゃんと触手くん」の公共の場プレイに性癖を直撃されたが、次の読者は「みどりの池」の静かな恋愛描写に心を奪われるかもしれない。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
本作は雑誌(単話)です。連載作品「戦士ちゃんと触手くん」は単行本化される可能性がありますが、他の読み切り作品をまとめた単行本は発行されないでしょう。特定の作家さんや連載を追っているのでなければ、この雑誌単体で楽しむ形になります。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
「戦士ちゃんと触手くん」第6話以外は、ほぼ読み切りまたは独立した話です。連載作品も、あらすじから関係性は理解できるようになっています。異種族愛というテーマに興味があれば、Vol.024単体からでも問題なく楽しめるでしょう。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
あらすじとタグから判断する限り、過剰な暴力やスカトロなどの過激な描写はなさそうです。「バケモノを愛して」では主従関係に基づく一方的な行為が描かれますが、NTR(他人に取られる)要素は見当たりません。全体的に、異種族間の同意あるいは歪んだ同意に基づく関係が中心と思われます。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
作品によって大きく異なります。「戦士ちゃんと触手くん」は実用性とシチュエーションのスリルが、「人妖純愛養生訓」や「みどりの池」はストーリーと情緒が強めです。一本の雑誌で両方の楽しみ方ができる、バランス型のアンソロジーと言えます。
異種族愛の奥深さを味わえる、良質なアンソロジー
結論から言えば、異種族もの、特に「人間×非人間」の恋愛や性愛に少しでも興味があるなら、十分に価値のある一冊だ。141ページに4作品+表紙という構成は、読み応えがありながらも飽きさせない。それぞれの作品が「異種族」という同じ土俵に立ちながら、全く異なるアプローチで読者の心を揺さぶってくる。激しいプレイを求める読者にも、ほんわかした恋愛を求める読者にも、何かしらの発見がある。この雑誌は、単なるフェチの領域を超えて、異なるもの同士がどう理解し、どう愛し合うかという普遍的な問いを、エンターテインメントとして提示している。買ってよかったと思える、異色のアンソロジーだ。





