コミックグレープ Vol.147のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
正直に言う。アンソロジーは当たり外れが怖い
まず謝らせてほしい。舐めてた。コミック誌のアンソロジーは、一冊に数本の読み切りが収録されている。当然、当たりも外れもある。特に「萌え系」と銘打たれると、甘ったるいだけの作品が混じる不安がある。164ページというボリュームは魅力的だが、果たして最後まで飽きずに楽しめるのか。コスプレと巨乳というタグは好みに直撃する。しかし、その期待が裏切られる可能性も考えていた。今回は、そんな先入観を抱きながらページを開いた。
読み進める中で、期待を上回る濃密さに引き込まれる
最初の数作品を読み終えた時点で、予想は良い方向に外れた。表紙を飾る佐原玄清の巫女は、確かに「倚馬七紙」と称されるだけある。衣装の質感と、その下にある柔らかな肉感の描き分けが秀逸だ。しかし、この号の真骨頂はむしろ中盤以降にある。かたせなの「オタクな彼女とエロコスH」は、同人作家という設定を活かした「創作」と「性癖」のリンクが巧みだ。主人公が好きなゲームキャラの過激な巫女コスを着た彼女。その調整と称した手練手管は、読んでいる自分も共犯者になった気分にさせる。
そして、肉そうきゅー。「塔の悪魔となりきり聖女」では、シスターコスと「なりきりプレイ」という二重のフェチズムが炸裂する。清楚な外見と、内面に蠢くド変態性のギャップ。これには参った。正直、この2作品だけでも購入の価値はあると思わせる出来だ。誌面のリズムも良く、硬軟織り交ぜた構成が退屈を許さない。
多様な「弄り」が164ページを埋め尽くす
後半はよりハードな方向へと傾いていく。由雅なおは「便所クンの復讐」は、文字通りの肉体改造を経たマッチョによる復讐劇だ。タグの「巨乳」と「スレンダー」がここで活きる。鍛え上げられた男体と、かつてのいじめっ子である幼馴染みの女体の対比が、復讐の快感を増幅させる。茶否「パコられエルフさんの婚活道」は、高慢なエルフが無銭飲食のツケを身体で払わされる話。社会の厳しさを教える、という名目の嬲りがエグい。
一方、肉メン「裏垢女子がやって来る!」は連載7話目。格ゲーヒロインのコスプレを軸にしたラブコメ的展開が続くが、ここにきてメンヘラモードが発動。関係性の不安定さが新たなスパイスになっている。バラエティに富んだ「弄られ方」が、このアンソロジーの強みだ。一つのテーマで貫くのではなく、様々な角度から「萌えとタブー」を抉る。この編集方針は成功している。
そして、ここに至る。二つの「処女」が描く絶頂
感情が最も動いたのは、収録8作品中の最後を飾る二つの「処女」ものだ。とこわん「めちゃくちゃ揉みたい」は、未来から来た痴女が送り込む大人玩具「いやらしハンド」を使って、高嶺の花を落とすSFコメディ。荒唐無稽だが、道具を通じた間接的な接触という新たなエロの形を提示している。画力も抜群で、玩具の質感と肌の感触の違いが目に見えるようだ。
しかし、圧倒的なのは佐倉さくさく「可愛すぎて脱税?…後編」である。前編で高額落札された高飛車JKが、追徴課税で再びオークションに。今度は想定外の安値でキモいおじさんに落とされる。絶望の底から這い上がるためにスマホを使う逆転劇。この展開のキレと、屈辱と必死さが入り混じったヒロインの表情。思わず「このヒロイン、めっちゃいい……」と呟いてしまった。処女喪失というタブーを、社会的な制度(課税)と結びつけた発想力も光る。これは保存版だ。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
今回の8作品は全てこの誌面が初出の読み切りです。気に入った作家の単行本を待つか、この多様な作品群を一度に楽しむか。164Pで複数作家を味見できるコスパは単話誌の利点です。まずはこちらで好みの作家を見つけるのがおすすめ。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
ほとんどの作品は完結した読み切りなので問題ありません。唯一、肉メン先生の作品のみ連載7話目ですが、キャラ関係は本文内で簡潔に説明されているため、単体でも十分楽しめる構成になっています。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
タグに明記はありませんが、あらすじから「復讐」や「嬲り」といった要素は複数作品に含まれます。具体的には、いじめへの仕返しや、無礼への制裁としての性的行為が描かれています。純愛一辺倒を求める方には合わない可能性があります。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
実用性に重きを置きつつ、各作品が短いページ数でシチュエーションの魅力を最大限に引き出しています。荒唐無稽な設定も、エロへの合理的な動機付けとして機能しており、実用性を損なわないストーリー設計がされています。
多種多様な“萌えの形”が詰まった濃厚アンソロジー
結論として、これはAランクの出来だ。外れ作品がほぼなく、164ページが密度の濃いエロスで埋め尽くされている。巫女、シスター、エルフ、格ゲーキャラといった多様なコスプレは、視覚的フェチズムを存分に満たしてくれる。さらに、純愛系から復讐劇、SFまでシチュエーションの幅も広い。一本の長編を読むような単調さはない。自分の好みの「萌え」や「弄られ方」を発見できる、探索の楽しみがあるアンソロジーだ。値段以上の価値は間違いなくあった。





