COMIC E×E 17のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
611ページのアンソロジーは、欲望の万華鏡か、それとも雑多な寄せ集めか
雑誌という形式は、常に二面性を持つ。多彩な作家の個性が一冊に凝縮される可能性。その一方で、テーマの散漫さや質のばらつきというリスクも孕む。『COMIC E×E 17』は、その膨大な611ページというボリュームで、読者に何を提供しようとしているのか。それは単なる作品の集合体を超えて、ある種の「欲望の生態系」を提示している。多様な性癖が並列し、時に交差し、時に競合するその空間を分析する。そこにこそ、雑誌というメディアの真価と危うさが同時に露呈する。
「巨乳」と「NTR」が交差する、背徳のグラウンド
与えられたタグとあらすじから、この雑誌が立脚する基盤は明確だ。それは「巨乳」という視覚的・肉体的な刺激と、「寝取り・寝取られ・NTR」という心理的・背徳的な駆け引きの、二層構造である。この組み合わせは、単なる好みの羅列ではない。読者の欲望を、表層の快楽と深層の罪悪感へと同時に誘導する、計算された戦略のように思える。
多作家体制が生む「比較」という快楽
あらすじには、たかやKi、文雅、IAPOC、箕山、赤木リオ、だいじ、赤セイリュウ、尻戦車、ヂイスケなど、実に多くの作家名が列挙されている。これは単なる宣伝文句ではない。読者に「比較」という別次元の楽しみを提供する。同一の「巨乳」や「NTR」というテーマを、異なる画風、異なる演出でどう料理するか。作家間の個性の違いを味わうこと自体が、この雑誌の重要なコンテンツとなっている。自分はどの作家の解釈に最も心揺さぶられるのか。その探求の過程にこそ、沼の入り口がある。
「初登場」と「人気シリーズ」の危険な化学反応
あらすじは、E×E初登場となる作家(赤木リオ、だいじ、赤セイリュウ、尻戦車、ヂイスケ)と、既にシリーズを展開する人気作家(桂井よしあき、IAPOC、ShiBi、箕山など)の両方を強調する。これは、安定感と新鮮さという、一見相反する要素を両立させようとする編集方針の表れだ。未知の作家による刺激的な一撃と、期待通りのシリーズの続き。この両方が611ページの中に同居することで、読者は安心と冒険を同時に手に入れられる。ただし、初登場作家の力量が雑誌の質を大きく左右する、という賭けでもある。
アンソロジー雑誌というジャンルにおける、過剰なまでの存在感
「マンガ誌」というタグが示す通り、同種のアンソロジーは数多く存在する。では、『COMIC E×E』シリーズはその中でどのような立ち位置を占めるのか。あらすじから感じ取れるのは、「ハード」と「キュート」の境界線を意図的に曖昧にし、両方の読者を取り込もうとする貪欲さだ。文雅先生の「LOVE & HARDエロス」や、箕山先生の「イチャラブ」といった表現は、純愛と背徳、優しさと激しさを同居させている。一方で、赤セイリュウ先生の「屈折寝取られ奇譚」や、三ッ葉稔先生を「生粋のダークハードSEX派」と紹介するあたりには、迷いのないハードコア路線も健在だ。この雑誌は、特定の性癖に特化するよりも、欲望の幅そのものを広げることに主眼を置いている。結果として、どこか一つに深く沈潜したい読者には物足りなさを覚えさせるかもしれない。しかし、様々な「エロスの可能性」をサンプリングしたい読者にとっては、これほどコストパフォーマンスの高い媒体はない。611ページという物理的重さが、その情報量の多さを保証している。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本とこの雑誌、どっちを買うべき?
好みの作家が集中している単行本を求めるか、多様な作家の作品を一度に味わうかで決まる。本誌は「たかやKi」表紙で同日発売の単行本も宣伝しており、作家の世界観を深掘りしたいなら単行本が本丸だ。しかし、未知の作家との出会いを求めるなら、この611ページのアンソロジーは宝の山と言える。
Q. 掲載作品はすべて読み切り?連載もの?
あらすじから判断するに、読み切りと連載シリーズの両方が混在している。IAPOC先生の「瞳」シリーズ第三弾、ShiBi先生の淫魔シリーズ第三話など、続き物も多い。ただし、各話の完結度は高く、前話を知らなくても楽しめるように作られていると思われる。シリーズ物はむしろ、その作家のファンになるきっかけとして機能する。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
タグに「寝取り・寝取られ・NTR」が明記されているため、この要素を含む作品は確実に存在する。あらすじでも「屈折寝取られ奇譚」といった直接的な表現がある。一方、スカトロや過度な暴力に関する言及はない。ただし、作家によって表現の硬度は異なるため、「ハード」と銘打たれた作品には覚悟が必要かもしれない。
Q. 実用性とストーリー、バランスはどうか?
作家により大きく傾く。箕山先生の「いちゃラブ」はストーリー性が、らっこ先生の「爆エロ」シリーズは実用性がそれぞれ強く打ち出されている。雑誌全体としては、実用性を全面に押し出すハードコア作から、心理描写を重視する作まで幅広く掲載している。自分の好みの作家を見つける「探索の過程」自体が楽しみの一部だ。
欲望のデパートで、自分の性癖と真摯に向き合う
『COMIC E×E 17』は、完成された一つの世界を提供する単行本とは異質だ。それは多種多様な「エロスの断片」が陳列された、巨大なデパートのようなもの。訪れる者は、自分の好みのフロアを探し、時には未知のコーナーで衝動買いをし、時に「これは自分には合わない」と手放す。その全ての行為が、自己の欲望を再定義する作業に繋がる。611ページという圧倒的な物量は、その探索を飽きさせない。外部評価(FANZA)では5.00点(1件)と、限定的ではあるが高い評価を得ている。本レビュー評価としては、その網羅性と作家陣の豪華さ、そして何より「次はどの作家のページを開こうか」というワクワク感を生み出す編集力に敬意を評し、Aランクとする。ただし、全ての作品が自分に刺さるとは限らない。むしろ、そうでない作品に出会うことこそが、この雑誌を読む真の意味なのかもしれない。自分は何に興奮し、何に無関心でいられるのか。その境界線を探る、少し哲学的な夜をこの雑誌は約束してくれる。





