COMIC失楽天 2024年06月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
正直に言うと、期待と不安があった
「サキュバス系女子大特集」と聞いて、正直どうなるかと思った。ファンタジー要素と現代ギャルが混ざる。これは画力で全てが決まる。ブッチャーUの表紙は確かにインパクトがある。しかし、アンソロジーは当たり外れも大きい。特に「失楽天」は作家の個性が強すぎる時がある。今回は一体どんな旅になるのか。期待半分、不安半分でページを開いた。
読み進める中で、驚きの連続だった
最初の衝撃はブッチャーU『ドラギャル Turbo』だ。同人誌のリメイクとある。しかし描き下ろしが加わっている。吸血姫ギャルズの肌の質感が尋常ではない。汗と体液の光沢が、画面から滴り落ちそうだ。カラオケボックスという閉鎖空間。その中で繰り広げられる濃厚なフェラチオ。パイズリの肉圧が、画面を歪ませている。正直、画力だけで買う価値があると思った。
次にutu『Kiss飲みニケーション』だ。ここで感情のベクトルが変わる。ブッチャーUの狂騒から、一転して大人の色気だ。人妻である上司と部下の出張もの。酔うとキス魔になるという設定が秀逸だ。絡み合う舌の描写が、官能的でありながらもどこか切ない。制服からスーツへの衣装の変化。これが読者の欲望を巧みに切り替える。アンソロジーのメリットを最大限に活かしている。
各作家の「肉」へのアプローチ
この号の面白さは比較にある。ブッチャーUの「肉」は弾力と重量感だ。utuの「肉」は柔らかさと体温だ。西沢みずき『漫研とボイン』は、巨乳という属性をストーリーに昇華させる。新人漫画家を導く人妻編集者の包容力。それはそのまま肉体の包容力へと繋がる。堀博昭『珠瑞ちゃんの~』は、優等生の理性が崩れる過程を描く。舌の虜になるという表現が、まさにその通りだった。一つ一つの「肉」に、作家の哲学が込められている。
そして、ここに至る決定的な瞬間
最も感情が動いたのは、やはり冒頭の『ドラギャル Turbo』の一コマだ。生ハメLIVE配信という狂ったシチュエーション。画面越しの視聴者と、現場の男を同時に興奮させる構図。ギャルたちの「おじさんのデカチ●ポ食べた〜い」という台詞。その無邪気な欲望が、非人間的な存在だからこそ許容される。この倒錯感がたまらない。非日常のエロスを、これほどまでに鮮烈に描く力。ここにこの号の集大成があると思った。久しぶりに「買ってよかった」と唸った瞬間だった。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
142ページというボリュームは単行本並みだ。5作品が収録されており、コスパは極めて高い。特にブッチャーU作品は同人リメイク+描き下ろしあり。誌面ならではの豪華さがある。まずはこの号で作家の腕を試すのがおすすめだ。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
全て読み切り作品なので問題ない。『ドラギャル』は同人が元だが、本作で完結する形になっている。『魔王様は~』のみ「前編」とあるが、一つのエピソードとして楽しめる。どの作品も設定が明快で、すぐに没入できるだろう。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
タグに「3P・4P」「人妻」はあるが、NTRを示唆するタグはない。あらすじから推測する限り、浮気を主題にした作品は含まれる。しかし、過度な精神的苦痛や暴力描写はなさそうだ。全体として明るく貪欲なエネルギーに満ちている。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
圧倒的に実用性重視でありながら、各作家のストーリー構築力も光る。シチュエーションの設定が巧みで、エロスへの導入がスムーズだ。特にutu作品は心理描写が細やか。画力とシチュの両面で、高い水準を保っているアンソロジーと言える。
多様な「肉感」が詰まった饗宴
本レビュー評価はAランクだ。その理由は「比較の妙」にある。一冊の中で、ブッチャーUの狂暴なエロスと、utuの繊細なエロスを同時に味わえる。これはアンソロジー誌ならではの特権だ。142ページという分量は、各作家が存分に腕を振るうのに十分な舞台だ。サキュバスであれ人妻であれ、そこに宿る「生々しさ」を追求する作家たちの熱意が伝わる。ビッチギャルから大人の女性まで、好みの幅が広い読者に推せる一冊だ。
