レビュー・徹底解説

👤誰向け?季節感とシチュを味わいたい人
⚠️注意点特になし
おすすめAランク
作品名COMIC快楽天 2023年11月号
形式マンガ誌(アンソロジー)
ページ数359P
発売日2023年10月
主な収録作家fly, 楝蛙, えーすけ, 雲呑めお, 桃雲, セミノハヅキ, 南北, 馬鈴薯, 村田蓮爾 他

夏の終わりと、秋の始まりを彩るアンソロジー

季節は夏から秋へ。移り変わりゆくのは天候だけではない。人の心も、関係性も、静かに、時に激しく変容する。COMIC快楽天 2023年11月号は、そんな「季節の変わり目」をテーマに据えた作品群が並ぶ。巻頭を飾るのは、田舎の日本家屋を舞台にした切ない関係。競泳水着のままでの交わりは、青春の終わりを感じさせる。一方で、人妻との甘く危険な関係や、幼馴染とのセフレ契約など、多様な「変わり目」が359ページに凝縮されている。これは、単なる雑誌ではなく、様々な作家が紡ぐ「移行期」の物語集だ。一冊で多様な味わいを楽しめる、アンソロジーならではの魅力が存分に発揮されている。

多彩な作家が描く「変容」の瞬間に迫る

総勢18作品を収録する今号。その中から、特に印象的なポイントを3つに絞って解説する。正直、このボリュームでこの価格はコスパが良いと思った。

1. 切なさと官能が交錯する「夏の終わり」

楝蛙による「夏が終わる」は、本号の巻頭を飾る珠玉の一編だ。夏の終わりの田舎を舞台に、競泳水着姿の娘・千尋と年上の親戚・春樹の関係が描かれる。蝉時雨が響くふたりだけの空間。水着を着たままの着衣プレイは、抑えきれない感情と、どこか後ろめたさが交じり合う。あらすじから推測するに、千尋の一途な恋心が、刹那的な肉体関係へと昇華していく過程が丁寧に描かれていると思われる。画力については、したたる汗や、水着の質感、畳の上で絡み合う身体の描写に、作家のこだわりが感じられるだろう。

2. 人妻の危険な魅力に満ちた「よりみち」

えーすけ作「よりみち」は、王道でありながら手強い人妻ものだ。大学生・真琴が一目惚れした喫茶店員の鈴香さんは、美人で巨乳だが、既婚者という事実が立ちはだかる。しかし、そこから逆転の誘いが始まる。この「既婚者であること」と「積極的なアプローチ」のギャップが、作品の緊張感を生み出している。おそらく、冷ややかな表情から一転、私的な場で見せる表情の変化や、ぽよんと弾む大きな胸の描写が、読者の心をがっつりキャッチするに違いない。「まだイっちゃだめだからね」という台詞からは、鈴香さんが主導権を握る、甘くも支配的な関係性が伺える。

3. 新鋭作家が放つ、個性豊かな煩悩ウェーブ

本号は、豪華な常連作家に加え、新鋭作家の力作も見逃せない。雲呑めおの「秘湯」は性欲旺盛な精霊との温泉めぐり、桃雲の「ミラレタガリ」は優等生女子の激しいオナニー盗み見、セミノハヅキの「きせーじじつの作り方」は不思議ちゃんの積極的なアプローチと、バラエティに富んでいる。それぞれの作家が持つ独特の「エロさ」の解釈や、キャラクターの描き分けが楽しめる。画風も実に多彩で、柔らかく情感豊かなタッチから、くっきりとしたラインで肉感を強調するタッチまで、ページをめくるたびに新鮮な驚きがある。この作画カロリーの高さには参った。

購入前に知っておきたいこと

Q. 単行本と単話、どっちがお得?

本作は雑誌(アンソロジー)です。18作品・359Pという大ボリュームを一冊で楽しめるのが最大の魅力。好きな作家の単行本を買い集めるよりも、コストパフォーマンスに優れ、新たな作家との出会いもあります。

Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?

ほぼ全ての作品が読み切りです。シリーズ物の「派遣のナカノさんは元AV女優 vol.3」のみ連載ですが、単体でも十分楽しめる内容に仕上がっています。どのページから読んでも問題ありません。

Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?

あらすじから判断する限り、過度な地雷要素は見当たりません。主なテーマは「切ない関係」「人妻」「幼馴染」など、比較的スタンダードなシチュエーションです。ただし、作家によって表現の強弱はあります。

Q. ストーリー重視?実用性重視?

バランス型です。「夏が終わる」のような情感豊かな作品もあれば、「スキャンダラス・ベイビー」のような性欲特化型も同居。全体的には、シチュエーションとキャラクターを立てた上でのエロ描写が主体で、実用性も十分です。

この雑誌を手に取るべき人は?

多様な味わいを一度に楽しみたい読者に、この一冊は強く推せる。逆に、特定の作家やジャンルに特化したい人には向かない側面もある。

☑ YES!買い

  • 季節感や情感のあるシチュエーションものが好きな人。
  • 複数の作家の画風や作風を比較して楽しみたい人。
  • 人妻、幼馴染、着衣など、スタンダードなテーマを好む人。
  • 359Pという大ボリュームでコスパを求める人。

☐ NO。様子見

  • 過激なフェチや特殊なジャンルを求めている人。
  • 一つの長いストーリーに没頭したい人。
  • 収録作家の中で知っている名前がほとんどない人。

秋の夜長を彩る、多種多様なエンターテインメント

COMIC快楽天 2023年11月号は、まさに「アンソロジー雑誌の醍醐味」を体現した一冊だ。切ない純愛からドキドキする不倫まで、感情の振幅が大きい。18人もの作家が集まれば、当然当たり外れはある。しかし、この号では「夏の終わり」と「よりみち」の二大看板が強力だ。さらに数々の新鋭作品がそれを支える。外部評価(FANZA)では4.00点(1件)と高評価だが、本レビュー評価ではAランクとした。ボリュームとクオリティのバランス、そして季節に寄り添うテーマ性が光る。秋の深まりとともに、ページをめくる手が自然と進んでいく。久しぶりに雑誌の楽しさを思い出させてくれた。

📊 総合評価
Aランク
エロさ★★★★☆
画力★★★★☆
ストーリー★★★☆☆