COMIC快楽天 2023年09月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
夏の熱気と開放感を詰め込んだ、王道アンソロジー
「COMIC快楽天」は、エロ漫画誌の中でも特に明るくポップな作風を特徴とする雑誌だ。その2023年9月号は、まさに「夏」をテーマにした一冊と言える。あらすじに「アソビざかりの夏」「夏の火アソビ」とある通り、開放的な季節の空気感が作品全体を包んでいる。ナンパ、初体験、セフレ関係など、若者の刹那的で享楽的な性を描く作品が多く集まっている。これは、特定の濃厚な性癖に特化するというより、夏の熱気に身を任せたいという普遍的な欲求に応える構成だ。355ページというボリュームは、単行本一冊分を超える読み応えを約束する。正直、このページ数でこの価格はコスパが良いと感じた。
「ガン見」から「ギャルデビュー」まで、多彩な夏模様
この号の独自性は、一つのテーマ「夏」の下に、実に多様なシチュエーションを並べている点にある。巻頭を飾るどじろー「ガン見しないで宇月さん!!」は、射精時にガン見してくる彼女という、ある種の「贅沢な悩み」をコミカルに描く。一方、Hamao「夏、気分熱気球。」は、地味女子三人組がギャルに変身してナンパされるという、誰もが一度は夢想する「夏の冒険」を活写する。他にも、ビッチな家庭教師や世話焼きセーラー服女子、未亡人との同居生活など、バラエティに富んだヒロインが登場する。この号は、一つの極端な性癖に深く沈潜するよりも、様々な「夏の一コマ」を楽しむ雑誌なのだ。表紙作家もHamaoが担当しており、明るく健康的なエロスを体現している。
王道と個性の絶妙なバランス感覚
収録作家陣を見ると、村田蓮爾やオクモト悠太など、確かな画力とストーリー構成力で知られる作家から、新進気鋭の作家まで幅広く起用されている。これは、誌面のクオリティを一定に保ちつつ、新鮮な風も取り入れるという編集方針の表れだろう。各作品は独立しているため、気になる作家やシチュエーションから読み始められるのもアンソロジー誌の利点だ。自分は「ガン見しないで宇月さん!!」の、真剣な眼差しの描写に思わず笑ってしまった。あの「ザワザワ」する感覚、よくわかる。
「快楽天」の世界観に共感するなら
この作品が好きなら、同じ「COMIC快楽天」の他の号や、姉妹誌である「COMIC快楽天ビースト」もチェックすべきだろう。特に「夏」や「開放感」を前面に押し出した特集号は、同様の空気感を楽しめる可能性が高い。また、個別の作家で言えば、Hamaoの明るく肉感的な作画や、オクモト悠太のちょっとズレたシチュエーション設定を好む読者には、それぞれの単行本もおすすめだ。アンソロジー誌は、気になる作家を見つける「種探し」の場としても機能する。この号で刺さった作家がいれば、その作家の過去作品を漁ってみるのも一興である。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
本作は雑誌(単話の集合体)です。355Pと単行本より多いボリュームで、複数作家の作品を一度に楽しめます。特定の作家だけ追うなら単行本、雑誌の雰囲気や多様性を味わいたいなら本号がお得です。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
各作品は完全に独立した読み切りです。シリーズ物(例:「いたずらごころ3」)は数字から続編と推測されますが、単体でも問題なく楽しめるように作られているはずです。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
あらすじからは、NTRや過度な暴力は窺えません。収録作の一つ「よそのうち」は「貞操観念がかなり変わっている家族」とあるので、近親相姦的な要素が含まれる可能性はあります。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
全体的には明るく楽しいシチュエーションを重視した作品が多く、実用性も高いです。ただし「ガン見しないで宇月さん!!」のように、少し捻りのある設定を丁寧に描くストーリー性の高い作品も混ざっています。
夏の終わりに、熱い余韻を求めたいあなたへ
結論から言えば、これは「夏の気分」を存分に味わいたい人に刺さる一冊だ。重苦しい展開や複雑な人間関係はほとんどなく、青春の一瞬を切り取ったような、爽やかでどこかノスタルジックなエロスが基調となっている。電車では絶対に読むな。これは忠告だ。外部評価(FANZA)では4.50点(2件)と高評価だが、評価件数が少ないため参考程度に留めたい。本レビュー評価としては、そのボリュームと作品のクオリティの高さ、そして一貫した「夏」のテーマ性から、Aランクと判断する。特に、日常から少しだけ逸脱した非日常的な体験を漫画の中で楽しみたい読者に強く推せる。この夏、何か熱いものを求めていたなら、間違いなくその欲求を満たしてくれるだろう。
