COMIC失楽天 2023年06月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
「お堅い処女」より「SEX好きのビッチ」が女神?
「COMIC失楽天 2023年06月号」のキャッチコピーは挑発的だ。お堅い処女よりも、SEX好きのビッチの方が女神だという。この号は、そんな「貞操ゆるゆる淫乱娘」たちを集めたアンソロジーである。全207ページというボリュームの中に、9人の作家による短編が収録されている。都会のP活事情から田舎のゆるい性事情まで、現代の「お股事情」を多角的に切り取る。言いたいことは山ほどある。だが、まずは落ち着いて聞いてくれ。これは単なるエロ漫画雑誌ではない。ある種の社会風刺であり、現代の性に対する一つの答えなのだ。
「2穴ファックオジサンズ」の巧妙な罠
巻頭を飾るのは堀博昭「P♀P活」。友人の茜から「2穴ファックオジサンズ」の話を聞かされるヒロイン・志乃。初めは高いお金を払うが、しばらくしたらお金を払わなくなるというオジサンたちの手口に、彼女は「バカだよね」と話を合わせる。しかし、実は彼女自身が既にその毒牙にかかっていたというのだ。この設定は、金銭と快楽、依存と自立の境界線が曖昧になる現代の性を象徴している。お手当ナシで無料SEXを続けてしまう彼女たちの心境は、単なるビッチ描写を超えて、どこか哀愁を帯びている。自分が読んでいて、「これはある種の社会派ドラマだ」と感じた部分もある。
オタ友から恋人へ? 歪んだ純愛の可能性
一方で、ほのぼのとした要素も散りばめられている。いしとゆうら「ぼくは知らない」では、かつてのオタ友・篠川暖乃との再会が描かれる。JDになってもモサい見た目で、重度の百合オタで喋り方もキモい、そんな篠川に主人公は密かにワンチャンを願っていた。そこに投げかけられる「実際、中学ん時は山本のこと好きだったし」という思いがけない一言。これは、一見すると「ビッチ」とは対極にある、歪んだ純愛の萌芽と言えるだろう。タグからは推測できないが、このような緩急のある作品配置が、雑誌全体のリズムを作っていると思われる。
無自覚なビッチたちの生態系
他の作品にも目を向けると、そのバラエティの豊かさがわかる。先生とエッチしたくて男の悦ばせ方を学んできた元教え子。警戒心が薄すぎてセクハラされまくってしまうムチムチの幼馴染。マッチングアプリでナガサレ浮気SEXしてしまう新妻。彼女たちに共通するのは、ある種の「無自覚さ」だ。悪意を持って人を騙すのではなく、自分の欲望や状況に流されるがままに、ゆるゆると性に溺れていく。その描写は、時にコミカルに、時にエロティックに展開される。正直、この「ゆるさ」が逆に生々しく、現実味を感じさせるところがこの号の真骨頂だった。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
本作は雑誌(単話の集合体)です。207ページで9作品というコスパは良いですが、気に入った作家の単行本を追う方が効率的かもしれません。まずはこの号で作家の画風や作風をチェックするのがおすすめです。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
各作品は完全な短編で構成されています。雑誌連載の一話である可能性はありますが、あらすじから判断する限り、どの話も単体で十分に楽しめる内容です。シリーズ知識は不要です。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
あらすじからは、明確なNTRや過度な暴力の描写は読み取れません。ただし「浮気」や「ナガサレ」といった要素を含む作品はあるため、その点が気になる方は注意が必要です。全体的には現代のゆるい性事情がテーマです。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
バランス型と言えます。現代的なシチュエーションを活かしたストーリー性がありつつ、各作家の画力でエロシーンもしっかり描かれています。いわゆる「実用性」だけを求めるより、シチュエーションの面白さを楽しむ読者に向いています。
現代の「ゆるい性」を覗き見る窓
「COMIC失楽天 2023年06月号」をBランクと評価した。その理由は、コンセプトの明確さと作品のバラエティにある。「貞操ゆるゆる」という一つのテーマの下、様々な作家が多角的に現代の性を描き出している。全ての作品が傑作というわけではないが、207ページというボリュームは読み応え十分だ。特に、無自覚に、あるいは能動的に「ビッチ」と呼ばれる生き方を選ぶ女性たちの生態は、ある種のドキュメンタリーとしても興味深い。純愛しか受け付けない人には向かないが、現代の複雑な性事情をエンタメとして楽しみたい人には、十分に推せる一冊だ。
