COMIC快楽天 2023年05月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
春の欲望を凝縮した、多彩なアンソロジー
COMIC快楽天 2023年05月号は、そのタイトル通り「発情満開」の春をテーマにしたアンソロジー誌だ。363ページというボリュームの中に、18本の作品が収録されている。巻頭を飾るのは雲呑めお「魅悪ちる先生の逆境」。新人漫画家と担当編集の恋愛模様に、第三者の巨乳編集が絡む三角関係が描かれる。他にも、陰キャ同士の意外な関係性を描くどじろー作品や、人気シリーズの続編など、バラエティに富んだラインナップが特徴。外部評価(FANZA)では4.00点(7件)と、一定の支持を得ている。
購入前に知っておきたい5つの疑問
Q1. どのような作品が収録されている?
あらすじから推測すると、「魅悪ちる先生の逆境」のような職業もの、「陰キャ同士のセックスが一番エロいよね」のような学園もの、「派遣のナカノさんは元AV女優」のような社会人ものなど、シチュエーションは多岐にわたる。一冊で様々な味が楽しめるアンソロジーならではの魅力だ。
Q2. 画風や作画レベルにばらつきはある?
fly、雲呑めお、どじろー、スミヤ、オクモト悠太など、実力派から新鋭まで幅広い作家陣が名を連ねている。誌面全体として一定以上の画力は保たれていると思われるが、作家ごとの個性やタッチの違いは楽しみの一つと言える。
Q3. ストーリー性は重視されている?
収録作品のタイトルやあらすじを見る限り、キャラクターの関係性や心理描写に重点を置いた作品が多い印象だ。例えば「陰キャ同士のセックスが一番エロいよね」では、クラスでの疎外感や本音と建前の葛藤がエロスに昇華される過程が描かれていると思われる。
Q4. 363ページは読み応えがある?
単行本1冊分を超えるボリュームだ。18作品が収録されているため、1作品あたりのページ数は限られるが、その分、短編ならではのテンポの良さとエッセンスの濃縮感が期待できる。じっくり読み込むというより、様々な作家の「今」を手軽に味わえるコスパの良さが売りだろう。
Q5. 初心者向けか、マニア向けか?
アンソロジー誌の特性上、幅広い層に門戸が開かれている。特定のジャンルに特化せず、純愛から少し背徳感のあるものまでバランスよく収録されているため、エロ漫画の入門編としても、新たな作家や作風を発掘する場としても機能する。
「春のおサカリ」を体現する、濃密な一冊
この号の真骨頂は、そのコンセプトにある。「発情満開」「春のおサカリシーズン」というキャッチコピーが示す通り、ウブな初体験ものから、熟れた大人の関係まで、様々な「ハジメテ」と「疼き」が詰め込まれている。これは単なる季節の便乗ではなく、作品群が内包するエネルギーそのものを言い表しているように感じた。
例えば、巻頭の「魅悪ちる先生の逆境」。一途な恋心が、ラブホでの取材という形で現実のものとなるが、そこに新たなライバルが現れる。この「獲得と不安」のせめぎ合いが、まさに春の蠢きを象徴している。自分が読んでいて、このヒロインの「私の一途さ、ナメないでください……」というセリフに、思わずグッときてしまった。一見強気だが、実はとても不安で、だからこそ必死な心情が伝わってくる。
また、「陰キャ同士のセックスが一番エロいよね」に代表される「便所メシ仲間」的な関係性の描写も秀逸だ。社会や集団からはみ出した者同士が、互いの弱さや本音を曝け出し、そこから生まれる親密さ。それは、どこかぎこちなくもあり、だからこそ真実味のあるエロスを生み出す。こういうのでいいんだよ、と思わせてくれる作品だ。
表紙を飾るflyをはじめ、個性豊かな作家陣が一堂に会する場でもある。この号で初めて知った作家の単行本を後から追いかける、という楽しみ方もできる。363ページは、単なる分量ではなく、多様な性の在り方と表現者の可能性を詰め込んだパレットのようなものだ。
新生活のスパイスに、迷わず手に取る価値あり
結論から言おう。特定の作家やジャンルに強いこだわりがなく、「今のエロ漫画のトレンドをざっくり知りたい」「新しい好きな作家を見つけたい」という読者には、間違いなくおすすめできる一冊だ。18もの作品が収録されていれば、必ずや一つは心に刺さるものがある。ボリュームに対するコスパの良さも申し分ない。
一方で、すでに好きな作家が固定されていて、その作家の濃密な長編を求めている読者にとっては、物足りなさを感じる可能性もある。アンソロジー誌はあくまで「お試し」や「発見」の場という性質が強いからだ。
総合的に判断して、本レビュー評価はAランクとした。春という季節感と、多種多様な「ハジメテ」が詰まった、エネルギッシュでバランスの取れたアンソロジーだ。久々に、雑誌をめくるワクワクを思い出させてくれた。
