COMIC失楽天 2022年09月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
失楽天の魅力は「多様性」にある
COMIC失楽天は、言わずと知れた隔月刊行のアンソロジー誌だ。その最大の魅力は、一冊の中に多様な作家とジャンルが詰まっていることにある。今回の2022年9月号も、その方針を忠実に体現している。表紙を飾る東出イロドリの甘い青春モノから、だむの過激な配信者プレイまで、守備範囲が広い。ここだけの話、自分はこういうアンソロジーを「お惣菜パック」と呼んでいる。好みの一品もあれば、初めて口にする一品もある。その発見の楽しさが、雑誌購読の醍醐味だ。全179ページというボリュームは、単行本一冊分に匹敵する読み応えを約束してくれる。
清純派芸能人とドスケベ配信者の二極化
今号の独自性は、巻頭と巻中を飾る二大看板作品の対比にある。表紙連動の東出イロドリ「アオハルのお勉強」は、芸能人という肩書を持つヒロインが「普通の青春」を求める、どこか切ない甘さが特徴だ。一方、だむ「絶倫チャレンジ」は、公開ナマ配信という現代的な舞台で繰り広げられる、過激で挑発的なバトルを描く。一冊の中で、純愛に近いシチュエーションから、ハードなプレイまでを体験できる。これは単行本ではなかなか味わえない、雑誌ならではのメリットと言える。正直、このコントラストがくっきりしている号は、読んでいて飽きが来ない。
東出イロドリの“青春”はなぜ刺さるのか
「アオハルのお勉強」の魅力は、ヒロイン・鮎川花凛の二面性にある。世間的には清楚な芸能人でありながら、主人公には「キスしてみたい」と率直に迫る。この「特別な人だけに見せる本当の顔」という構図は、永遠の萌え要素だ。廃部寸前の部活という、どこか儚い舞台設定も青春の輝きを際立たせている。あらすじから推測するに、この作品は「記憶に残るアオハルSEX」を標榜するだけあって、情感とエロスが丁寧にブレンドされていると思われる。
だむの“挑戦”が描く現代的なエロス
対する「絶倫チャレンジ」は、ネット配信という現代の風俗を舞台にしている。視聴者の声がリアルタイムで作品世界に影響を与えるという、インタラクティブな緊張感が売りだ。挑戦者である童貞クンが「無敗のイキリビッチ」にどこまで迫れるか。あらすじには「敗北受精」という言葉も見える。これはおそらく、プレッシャーに負けた女側が、思いがけない結果を迎える展開が待ち受けているのだろう。ネットスラングを散りばめた過激な描写は、ある種の読者を熱狂させるに違いない。
アンソロジー好きなら間違いなしの一冊
もしあなたが「失楽天」や「快楽天」といった隔月誌の常連なら、今号も外れはない。安定のボリュームと作家陣の顔ぶれが揃っている。特に、西沢みずきやTANABE、コブラノヲヤツといった実力派作家の名前が見える。各作家の持ち味を、短編というコンパクトな形式で味わえるのがアンソロジーの良さだ。単行本で好きな作家を追いかけるのとはまた違う、新しい作家との出会いの場として機能する。自分も過去に、雑誌で見つけた作家の単行本を漁った経験が何度もある。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
この作品は「雑誌」そのものです。単行本とは異なり、複数作家の作品が一度に楽しめます。好きな作家の単行本を買うのと、未知の作家も含めた雑誌を買うのでは、価値の方向性が違います。発見を楽しみたいなら雑誌がお得です。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
ほぼ問題ありません。各作品は基本的に読み切りです。ただし、「パパカツ!! 幕間編」とあるように、シリーズものの一部である作品も含まれますが、単体でも楽しめるように作られていると思われます。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
あらすじから推測する限り、明確なNTRやグロテスクな描写は見当たりません。ただし、「調教済み」「堕ちる」といったタグ的要素を含む作品や、「絶倫チャレンジ」のようなハードなプレイを扱う作品は含まれます。全体的な傾向はややハード寄りかもしれません。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
作品によって大きく分かれます。東出イロドリ作品は青春ストーリーを重視していると思われますが、だむ作品は過激なプレイと実用性を前面に押し出しています。一冊で両方の楽しみ方ができる、というのが答えです。
多様性を求める冒険者に捧ぐ
結論から言おう。この雑誌は、エロ漫画の「食わず嫌い」を減らしたい人にこそおすすめだ。一つの作家、一つのジャンルに固執していると、見逃してしまう世界が確かにある。甘い青春ものから辛辣なプレイものまで、179ページの中に多様なエロスが詰まっている。全てが自分の好みにハマるとは限らない。むしろ、そうでないことの方が多いかもしれない。しかし、その中から新たな「推し」や「性癖」を見つけるスリルは、何物にも代えがたい。安定した品質の単行本を買うのも良い。だが時には、こうしたアンソロジー誌に手を伸ばし、未知の領域へ足を踏み入れてみるのも悪くない。思わず、「この作家、他に作品あるかな?」と検索をかけてしまった。
