COMIC失楽天 2022年01月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
背徳感と多様性が詰まった、冬のアンソロジー
「COMIC失楽天 2022年01月号」は、一言で言えば「背徳温泉の季節」を体現したアンソロジー誌だ。203ページというボリュームの中に、承認欲求、秘密の関係、NTR、純愛イチャラブまで、多岐にわたるシチュエーションが詰め込まれている。表紙はメメ50、巻頭を飾るのはイノウエマキトのフルカラー作品と、豪華な顔ぶれが揃う。特に注目は、だむによる「私はただスカートを短くしたただけ(前編)」。陰キャ女子の人生がスカート丈数センチで一変するという、刺激的でどこか現実味を帯びたテーマが心に刺さる。一冊で様々な“熱”を味わえる、冬にぴったりの雑誌と言える。
購入前に知っておきたい5つの疑問
Q. 203ページって、実際の読み応えは?
全9作品が収録されており、単行本1冊分以上のボリュームだ。短編が中心なので、隙間時間に1話、という読み方もできる。しかし各作品のクオリティは高く、特に巻頭のフルカラー作品は見応えがある。コスパという点では十分な価値があると言える。
Q. 「ツマフェス」のアフターストーリーとは?
あらすじによれば、人気シリーズ「ツマフェス」の後日談が収録されている。内容は「愛する旦那さんと……イチャラブ寝取られ報告SEX」とのこと。つまり、既に寝取られた後の、夫婦間の複雑で濃厚なやりとりが描かれていると思われる。本編ファンならずとも、その心理描写に引き込まれるだろう。
Q. メインと言える作品は?
表紙・目次順・あらすじの紹介量から判断すると、イノウエマキト「KODOMO Return」とだむ「私はただスカートを短くしたただけ(前編)」が二大看板と言えそうだ。前者は無邪気な秘密基地プレイ、後者は承認欲求と性の目覚めを描く。作風もテーマも対照的で、好みが分かれるかもしれない。
Q. NTR要素は強い?
収録作品リストに「NTRエデュケーション」という作品名があり、あらすじにも「NTR彼女」との記載がある。したがって、明確なNTR要素を含む作品が含まれていることは事実だ。ただし、全ての作品がNTRというわけではなく、「おあいこ」や「黒ギャル好きって言ったじゃん」など、別のテーマの作品も多い。バランスは取れている。
Q. 画風のばらつきは?
イノウエマキト、だむ、utu、桐下悠司など、実力派から新進気鋭まで作家の層は厚い。誌面を彩る画風は多様だが、いずれも商業誌クオリティの作画が期待できる。特にutu先生の「肉」の描写は、柔らかさと質感において定評がある。正直、画力だけで買う価値がある作家が複数名いる。
Q. 前編だけの作品があると聞いたが…
だむ「私はただスカートを短くしたただけ」は「(前編)」と明記されている。つまり、この号で物語が完結しない可能性が高い。続きが気になるタイプの読者にとっては、少々歯痒さが残る構成かもしれない。しかし、その分「次号が待ち遠しい」という期待感にも繋がるだろう。
多様性の裏側にある、一貫した“熱”
この号の真の魅力は、一見ばらばらな作品群が「背徳感」という一本の線で繋がっている点だ。幼なじみとの秘密の関係、教師と生徒の危険なライン、人妻の午後、NTRの教育……。いずれも日常の枠を少しだけ踏み外した、どこか“熱い”関係性を描いている。
特に印象深いのは、承認欲求という現代的なテーマを正面から扱った作品の存在だ。SNSでの「いいね」を求める気持ちと、性的な注目を浴びることの快感が交錯する。これは単なるフェチではなく、多くの人が共感しうる内面の機微に触れている。自分が読んでいて、「ああ、この感覚、わかる気がする」と思わずにはいられなかった。
また、203ページという分量は、単に話数が多いだけでなく、読者に「選択の自由」を与えている。全てを気に入る必要はない。気になる作家の作品だけを拾い読みするもよし、未知の作家に挑戦するもよし。一冊が小さな図書館のような役割を果たしているのだ。
あなたの“背徳の冬”を彩る一冊になるか
では、結局のところ買うべきなのか? 答えは、あなたが「多様なエロス」を求めているかどうかだ。一本の長編に没頭するのとは異なる、ショートストーリーの鮮度と刺激を楽しめる人に向いている。特に、だむの「スカートを短くしただけ」のような、心理的リアリティとエロティシズムが融合した作品を好む読者には強く推せる。一方、特定の作家やジャンルにこだわりが強く、NTR要素を一切受け付けないのであれば、作品選びは慎重になるべきだろう。
総合的に見て、ボリューム、作家陣の豪華さ、テーマの尖り具合のバランスが非常に取れている。冬の夜長に、様々な“背徳の温泉”に浸かりたいと考えるなら、迷わず手に取って良い一冊だ。この号を読めば、きっと次号への期待も自然と高まるはずである。
