COMIC快楽天 2021年09月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
ほろ酔いの夜、隣の部屋から聞こえるのは
「ごめんね〜Fカップだから〜」。この一言に、この号のすべてが凝縮されている。すぐ隣にいる、手が届きそうで届かない女の子たち。彼女たちは、無防備な寝姿を見せつけたり、趣味のコスプレを披露したり、怪しいアプリで大人と会ったりする。一線を越える直前の、ドキドキとムラムラが交錯する瞬間。この雑誌は、そんな「イマドキ」の距離感と性事情を、多角的に切り取るアンソロジーだ。深夜に読み始めて、気づいたら空が白んでいた。それほどに没入できる作品群が揃っている。
「すぐ近くのヤリたい女」というコンセプトの濃密さ
この号の空気感は、まさに「隣人感」に尽きる。幼なじみ、同級生、妹の友達、会社の後輩。特別な出会いではなく、日常の延長線上にエロスが潜んでいる。あらすじから推測される世界観は、SNSやアプリが当たり前の現代を背景にしつつ、根底には普遍的な「近くて遠い」関係性への憧れがある。ホロ酔いで転がり込んでくる同級生の無防備さ、コスプレを見せてくれるオタク娘の親密さ、就活アプリで知り合った大人との危うい関係。どれも非日常的でありながら、どこか現実味を帯びている。この絶妙なリアリティが、読者の想像力を刺激する。自分にも起こりうるかもしれない、そんな甘い妄想を掻き立てる力に満ちている。
多様な「一線越え」を味わう三本柱
367ページに及ぶボリュームの中から、特に目を引く三つのシチュエーションを深掘りする。
無防備アピールと成り行きのパンチライン
巻頭を飾るごさいじ「成行のパンチライン」は、この号の核となる関係性を描く。飲み会の度に泊まりにくる同級生・浅野。彼女はベッドを占領し、パンツ丸出しで寝る。主人公は「警戒心を持たれていない」と半ば諦めつつもムラムラする。しかし、これが意図的な見せつけだとしたら?この「わざとらしい無防備」こそが最大の魅力だ。お互い素直になれない男女が、酔いと夜の帳の中で、ぎりぎりの駆け引きを繰り広げる。正直、この「知ってるのか知らないふりなのか」という曖昧な緊張感がたまらなかった。
オタクと爆乳が交わる尊さの坩堝
オクモト悠太「コスってみたい!!」は、ある種の理想を体現している。妹が連れてきた友達が、美人で爆乳かつオタクという「尊すぎる娘」。部屋でコレクションを見せている流れで、自然にコスプレ姿を披露してくれる。このシチュエーションの強みは、共通の趣味を通じた親密さの加速にある。オタク文化という「内輪」の空間が、一気にエロティックな方向へ転がり落ちる瞬間。作者はわかっている。こういうのでいいんだよ、と心の底から思わせてくれる作品だ。
現代的な危うさと背徳の就職活動
おから「おいしいしゅーかつ」は、より現代的な断面を切り取る。怪しすぎる就活アプリでP活に励む女子大生・櫻子。普段は食事だけですませているが、今回マッチングしたオジサンは少し特別だった。ここで描かれるのは、便利で危うい現代のツールと、そこから生まれる予定調和ではない関係性。食事という日常的行為が、いかにエロティックな交渉の場となりうるか。この作品のリアルな危うさは、他の甘いシチュとは一線を画す味わいだ。
快楽天らしい「肉感」と「表情」の饗宴
表紙作家がみちきんぐであることからも推測される通り、この号の作画クオリティは高い水準で揃っている。特に目立つのは、柔らかくて弾力のある「肉感」の描写だ。Fカップと謳われるボリュームは、単なる大きさではなく、重量感と柔らかさが同居している。圧倒的な画力で、この肉感をどう描き分けているのか。1ページに何時間かけてるんだよ、と唸った作家も少なくないはずだ。また、恥じらいと快楽が入り混じる女性の表情も秀逸である。意図的な無防備を見せる時の微かな笑み、初めての体験に戸惑う瞳の揺らぎ。これらの細やかな演出が、シチュエーションの臨場感を何倍にも膨らませる。コマ割りも、緊迫した駆け引きの場面ではテンポを速め、とろけるような結合シーンではゆったりと時間をかける。読者の感情の起伏に寄り添った、職人芸的な技術が随所に光る。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
本作は雑誌(単話の集合体)です。18作品以上が収録された367ページというボリュームは、通常の単行本を数冊分に相当します。多数の作家の最新作を一度に楽しみたいなら、間違いなく本誌がコスパ優秀です。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
各作品は完全に独立した読み切りです。雑誌連載の1話目や、単行本未収録の新作が中心なので、知識なしですぐに楽しめます。作家のファンなら、最新作をいち早く読めるメリットも大きいです。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
あらすじから推測する限り、過度な地雷要素はなさそうです。収録作の大半は、同級生や幼なじみなど近しい関係での純愛や甘いシチュが中心。一部にヒッチハイクでの行きずりなどやや背徳的な要素もありますが、過激な描写はおそらく控えめでしょう。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
バランス型と言えます。ドキドキするシチュエーション構築とキャラクターの心情描写に重点が置かれており、ストーリー性は高い。その上で、みちきんぐやオクモト悠太ら実力派作家の作画による実用性も十二分に担保されています。両方を求める読者に最適です。
現代の「隣人エロス」を集大成した一冊
本レビュー評価はAランクとする。その理由は、明確なコンセプト「すぐ近くのヤリたい女」の下に、多様性と高品質を両立させた稀有なアンソロジーだからだ。甘い幼なじみものから少し危うい大人の関係まで、現代を生きる男女の多様なエロスを網羅している。外部評価(FANZA)では5.00点(3件)と絶賛されており、実際の読者からも高い支持を得ていることがわかる。367ページという大ボリュームは、寝る前の少しの時間では消化しきれない。様々な作家の「今」が詰まった、エロ漫画誌の醍醐味を存分に味わえる一冊だ。
