COMIC快楽天 2021年07月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
もじゃりんの初表紙が示す、快楽天の「今」
COMIC快楽天の2021年7月号を手に取った。表紙はもじゃりん。彼の初表紙だ。高身長のヒロインが、どこか従順な眼差しを向けている。あらすじには「イチャラブベースのSMプレイ」とある。一見相反する要素が混在している。この一冊には、雑誌ならではの多様性と、作家たちの「今」が詰まっている。361ページというボリュームは、まさにエロマガジンの醍醐味だ。まずは表紙から感じる、濃密で甘い空気感に浸ってみよう。
濃密な個性が交差する、アンソロジーの真骨頂
ページをめくると、その多様性が肌で感じられる。巻頭を飾るもじゃりんの「なっちゃんはね」は、確かにイチャラブとSMが見事に融合した世界だ。しかし、この号の面白さはそれだけではない。ショートカットの同級生との密な関係。脱力系カップルのほんの一時の情事。田舎で待つ巨乳の幼なじみ。それぞれの作家が、独自の色で「エロス」を描き出す。一つの世界に没入する単行本とは異なる、軽やかな出会いと別れの連続。これが雑誌の楽しさだ。
もじゃりんの「甘い調教」という美学
表紙連動の巻頭作「なっちゃんはね」は、この号の核と言える。高身長でモデル体型のJDが、背の低い彼氏に調教されていく。恋人関係が主従関係に変わる瞬間から、物語は加速する。首輪、チェーン、ご奉仕フェラ。確かにSMの要素は強い。しかし、その根底には「イチャラブ」がある。ヒロインの淫乱な体質は、彼氏への信頼と甘えから来ているように見える。ここだけの話、この「ベースが純愛」という構図が、プレイのエロさを何倍にも膨らませていた。支配と服従の間に流れる、確かな愛情。このバランス感覚は、もじゃりんならではのものだ。
バラエティに富んだシチュエーションの数々
他の作品群も非常に充実している。藤丸の「さよならブルートゥース」は、電車やトイレという公共の場での密かな関係を描く。緊張感が独特のスパイスになる。雲呑めおの「君がいる町」は、Uターン就職という現実的な設定に、幼なじみの待つ儚くも熱い想いを重ねる。かづきの「ナマ肉くえすと!」は、そのタイトルからして過激な冒険が伺える。読書家の地味子、年上幼なじみ、マイクロビキニでの洗体。一つ一つの話は短くても、そのエッセンスは濃厚だ。思わず「この作家の単行本もチェックしなきゃ」と唸ってしまった作品が何本もあった。
361ページを支える、確かな画力の競演
雑誌の価値は内容だけでなく、画力のレベルにもある。この号に集う作家たちの作画は、総じて水準が高い。もじゃりんの柔らかくも張りのある肉感。藤丸の洗練された線と表情描写。雲呑めおの優しいタッチ。それぞれが独自の「エロい絵」を追求している。特に表紙と巻頭を飾るもじゃりんの作画は、雑誌の顔として申し分ないクオリティだ。ヒロインの体型や仕草の描写は、ただ美しいだけでなく、そのキャラクター性を強く印象付ける。正直、画力の高さと多様性だけでも、ページをめくる楽しみは十分にある。
雑誌ゆえの「当たり外れ」はあるか
どんな雑誌にも言えることだが、全作品が自分の好みにハマるとは限らない。20本近い作品が収録されていれば、当然だ。あらすじから推測するに、SM要素を含む作品、乱交を扱った作品など、苦手なジャンルを感じる人もいるかもしれない。逆に、好みの作家やシチュエーションが一作でも見つかれば、それだけで購入の価値はある。この号の場合、巻頭のもじゃりん作品が非常に強力な核となっている。彼の作風が好きなら、それだけで推せる一冊だ。また、外部評価(FANZA)では5.00点(2件)と、限られた評価ではあるが高評価を得ている。これは、この号の核となる作品のファンからの強い支持を反映していると思われる。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
361ページで多数作家の作品を楽しめる本誌は、コスパと発見の面で優れています。特定の作家が好きでその世界に浸りたいなら単行本、いろんな作家の「今」を知りたいなら本誌がおすすめです。まずは気になる作家の腕を雑誌で試す、という楽しみ方もあります。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
ほとんどの作品は完結した短編なので、問題なく楽しめます。雑誌連載作品も、その号で完結する形で収録されていることがほとんどです。作家ごとの世界観を深く知りたくなったら、そこから単行本を遡れば良いでしょう。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
あらすじから推測する限り、過度な暴力やスカトロなどのハードコアな描写はなさそうです。ただし、巻頭作を含むいくつかの作品では、首輪やチェーンを用いた軽めのSMプレイが描かれています。また「オフ会乱交」というタグから、複数人でのプレイを扱った作品が含まれる可能性があります。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
作品によって大きく異なります。もじゃりんの作品は関係性の変化を丁寧に描くストーリー性が、藤丸の作品はシチュエーションの緊張感が際立ちます。全体的には、短編の中でキャラクターの魅力とエロティシズムを両立させるバランス型が多い印象です。実用性も十分ですが、物語の「間」を楽しむ余白があります。
多様性こそが最大の武器である
COMIC快楽天 2021年7月号は、一つの強力な核(もじゃりん)と、豊かな個性の集合体という二つの顔を持つ。もしあなたが、もじゃりんの「甘く濃密な調教劇」に興味をひかれるなら、迷わず手に取って良い。それは確かにこの号のハイライトだ。さらに、そこに留まらず、さまざまな作家のエロスに触れ、新たな好みを発見する楽しみも待っている。361ページは、決して無駄にはならないボリュームだ。一つの性癖に深く沈潜するというよりは、エロ漫画の「現在地」を軽やかに巡る旅。そんな気分で楽しめる、バランスの取れた一冊だった。
