COMIC失楽天 2020年12月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
表紙のutu先生から始まる、多様性の祭典
結論から言わせてくれ。これは「アンソロジー」の真骨頂だ。表紙を飾るutu先生の言いなり優等生。その柔らかな質感と弄ばれる表情に引き込まれる。しかしページをめくれば、世界は一変する。バンギャ風貧乳ギャル、ロリ妻、爆乳外国人。377ページというボリュームは、18もの異なる「肉感」と「シチュエーション」を内包している。正直、最初は表紙のインパクトが強すぎて他が霞むかと思った。だが、読み進めるほどにその多様性が心地よい。まるでビュッフェ形式の高級レストランだ。好きなものだけを、好きなだけ味わえる。この贅沢さは、単行本では得られない雑誌ならではの魅力だ。
「画」の博覧会:作家ごとに異なる造形美
アンソロジー雑誌の面白さは比較にある。同じ「女体」というテーマで、作家たちがどうアプローチするか。この号はその見本市と言える。
utuの“弄ばれ”と東出イロドリの“愛”
表紙連動作品「優ちゃんの受難☆再び」は、utu先生の得意分野だ。知らない男たちとのハメ撮り。ここでの美しさは「抵抗と諦めのグラデーション」にある。服の皺、涙の軌跡、力の抜けた四肢。全てが「弄ばれ」の質感を演出する。対照的なのが巻頭の東出イロドリ「君だけに光る」だ。八重歯がチャームの貧乳ギャルと、女友達としての「愛のある浮気」。舌ピアスのひんやり感という描写は秀逸だ。視覚だけでなく、触覚まで想像させる。この二作品だけでも、嗜好の分かれるところだろう。自分は後者の、少し歪んだ純愛感にやられた。
背徳の沼へ誘う、皐月芋網の濃厚描写
そして、忘れてはならないのが「ママパコDH」だ。勃起不全の父を持つ家族という設定。セックス大好きな母を、息子が「家族のために」抱く。近親相姦ものの醍醐味は、理性と欲望のせめぎ合いの「表情」にある。皐月芋網先生は、母の「我慢できなさ」と息子の「覚悟」を、ためらいがちな肢体の動きで見事に描き分けている。背徳感を絵で表現するのは至難の業だ。それを成し遂げている点は、画力の高さを感じずにはいられない。
雑誌であるが故の、光と陰
もちろん、万人に勧められる完璧な一冊ではない。18作品377ページと聞くとコスパが良いように思える。確かに量は圧倒的だ。しかし、その分「当たり外れ」が発生しうるのも事実。作家によって画風やテイストは大きく異なる。好みの作家が数人いれば、それだけで元は取れる計算だ。逆に、特定の作家やシチュ(例えば近親もの)が苦手なら、その部分は読み飛ばすことになる。アンソロジーは「選択と集中」が許されるメディアだ。全てを消化する必要はない。自分の性癖に合う「珠」を見つけ出す探検の書として捉えるべきだろう。外部評価(FANZA)では4.00点(1件)と高評価だが、評価件数が少ない点は留意したい。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
「多様な作家の作品を一度に楽しみたい」なら雑誌が圧倒的にお得です。本誌は18作品を収録。単行本数冊分の価値があります。気になる作家の腕前を試すサンプル集としても最適。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
ほぼ全ての作品が読み切りです。シリーズものは「優ちゃんの受難☆再び」など一部ありますが、単体でも十分楽しめます。作家ごとの世界観を気軽に味わえるのが雑誌の強み。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
あらすじから、近親相姦(母子)や複数相手との関係など、背徳感の強い要素は含まれます。スカトロや過度な暴力描写は見当たりませんが、各作家の表現には幅があります。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
作家により大きく分かれます。utu先生はシチュと画力で魅せる作風。東出イロドリ先生はキャラと関係性を重視。実用性も高い作品が多いですが、まずは「物語」としての完成度を追求している印象です。
多様性こそが最大の武器
では、結局おすすめできるのか。答えは「選び方次第」だ。特定の作家やジャンルにこだわりが強く、それ以外は受け付けないという人には不向きかもしれない。しかし、「今日の気分で読みたいものが変わる」「いろんな画風のエロ漫画を見てみたい」という好奇心旺盛な読者には、これ以上ない宝箱だ。377ページという物理的な厚みが、選択の自由を保証している。表紙のutu先生の柔らかな造形美に始まり、各作家が競演する「画」の博覧会。一つの性癖に縛られず、広く浅く楽しむ覚悟があれば、その価値は十二分にある。自分は、久しぶりに雑誌の醍醐味を思い出させてくれた一冊だった。
