COMIC快楽天 2020年01月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
18人の作家が描く、エロの祭典
357ページという膨大な紙面に、18作品が収録されている。これは単なる雑誌ではない。多様な性癖と物語が詰まった、一種のアンソロジーだ。表紙を飾るきいのイラストから、各作家の個性が炸裂する。読者参加型のネーム交換企画から、人気シリーズの完結編まで。エロ漫画誌の醍醐味である「多様性」と「発見」を、これでもかと体現した一冊と言える。正直に言う。このボリュームで年末に発売されるのは、ある種のサービス精神だ。
「幼なじみ」から「姉妹」まで、関係性の万華鏡
タグにある「幼なじみ」「姉・妹」は、収録作品のほんの一断面に過ぎない。この号の真骨頂は、その幅広い関係性の描き分けにある。陰キャとビッチヤンキーという対極の組み合わせ。編集者という現実的な職業を舞台にした日常。果ては異世界や、父と娘という禁断の領域まで。それぞれの作家が、独自の解釈で「関係性の機微」を炙り出す。一冊で様々な恋愛模様、様々な距離感の縮まり方を体験できる。これは沼だ。好きな作家の新作を追うだけでも満足できるが、未知の作家との出会いがまた楽しい。
今月の見逃せない三本柱
全18作品の中でも、特に注目すべき三つの柱がある。あらすじから、今月の顔となる作品群だ。
原案と作画の化学反応「ビビってねーし!」
石川シスケの原案にきいが作画を担当。プリン頭のビッチヤンキーと陰キャという、これまでにない組み合わせが生み出す化学反応に期待が高まる。キャラクターの見た目と内面のギャップ、そこから生まれる緊張感あるやり取りが、どのようにエロティシズムに昇華されるのか。ネーム交換企画ならではの、新鮮な世界観が楽しめるはずだ。
人気シリーズの決着「8月の灯(了)」
藤丸による紗和とヒロの物語が、今号で完結を迎える。2号連続の登場であり、読者からの熱い支持を受けての締めくくりと思われる。連載ものの最終回は、単なるセックスシーン以上の感情の滲出が求められる。積み重ねてきた関係性の全てを、どういう形で収束させるのか。ファンならずとも見逃せない、濃厚な一篇となるだろう。
みちきんぐの“仕事場エロ”最新作
みちきんぐ描く「ビッチスランプ安里さん」シリーズの最新作が掲載される。ビッチエロマンガ編集という、ある種メタな設定が持ち味のこのシリーズ。仕事という現実のフレームと、そこに蠢く欲望の描写のバランスが絶妙だ。最新作では、安里さんがどのようなスランプに陥り、どう“克服”するのか。笑いとエロが融合した、独特の読み味が楽しめる。
個性派作家たちの画力競演
18人もの作家が集まれば、画風のバラエティは圧倒的だ。きいの表紙イラストに象徴される、ポップでキャッチーな作画。藤丸の連載を支えてきた、情感豊かな線と表情描写。おかゆのデビュー作「写し鏡」から感じられる、どこか切ない雰囲気。さらにF4Uの異世界ファンタジーや、いーむす・アキの独特なキャラクターデザインまで。一冊の中でこれだけ多様な“肉”の描き方、汁の飛び散り方、恍惚の表情を比較できるのは、雑誌ならではの特権だ。正直、画力の見本市としても価値がある。えーすけの「DOLLS」やオクモト悠太の「ぜんぜんワカラン!」など、名前だけ見ても期待が膨らむラインナップに、思わずページをめくる手が早くなってしまう。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
本誌は357ページで18作品。単行本は通常1作家の作品を収録します。多数の作家の最新作を一度に楽しみたい、コスパを求めるなら本誌が圧倒的にお得です。特に気になる作家が複数いる場合は迷わずこちら。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
大部分の作品は単発または今号からでも問題なく楽しめます。ただし、藤丸「8月の灯」は完結編なので、前号を読んでいるとより深く味わえるでしょう。みちきんぐの安里さんシリーズも世界観は継続していますが、各話完結型なので心配無用です。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
タグから推測するに、近親相姦要素(「姉・妹」「父とムスメ」)を含む作品が収録されている可能性があります。NTRや過度な暴力といったハードな要素についての明記はありませんが、18作品と多様なので、苦手な要素があれば目次で作家名を確認することをおすすめします。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
作家により大きく異なります。きいやみちきんぐはキャラとシチュエーションを活かした実用性の高い作風、藤丸はストーリー性、おかゆは心理描写に重点を置いていると思われます。一冊で両方の楽しみ方ができる、バランス型の雑誌です。
エロ漫画の“今”が詰まった、年末の大本命
外部評価(FANZA)では5.00点(4件)と、限られた評価数ではあるが満点の評価を得ている。これは、この号の充実度を物語る一つの証左だろう。総合評価は迷わずSランクだ。その理由は単純明快で、提供する“体験”の密度が異常に高いからだ。好きな作家の新作をチェックする。未知の作家の魅力に気付く。たった一冊で、これだけの知的興奮と性的興奮を同時に得られる機会は多くない。357ページという物理的な厚さが、その価値を保証している。これは買ってよかった部類の一冊だ。エロ漫画を愛する者として、この熱量を共有しない手はない。
