COMIC快楽天ビースト 2018年06月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
正直に言うと、期待は低かった
「COMIC快楽天ビースト」の2018年6月号。正直なところ、レビューを書く前は「古い雑誌の再評価か」という印象が強かった。掲載作家の顔ぶれを見ても、当時から活躍しているベテランから、今では知る人ぞ知る作家まで様々だ。特に外部評価(FANZA)が5.00点と高評価ではあるものの、評価件数が1件と少ない。これは「神号」なのか、それともたまたま高評価が付いただけなのか。279ページというボリュームは魅力的だが、その中身に不安を感じずにはいられなかった。ここだけの話、期待値は低めに設定してページを開いた。
読み進める中で見えてきたもの
まず目に飛び込んでくるのは、カバーイラストを担当した雛咲葉の「アニバーサリー・ガール」だ。社長令嬢との大胆な露出Hというあらすじ通り、開放感と背徳感が同居した作風が印象的だった。続く各作品を読み進めると、この号のコンセプトが少しずつ見えてくる。それは「多様性」だ。
オクモト悠太の「白坂先生でヌこう!」はカタブツ女教師の妄想H、れぐでくの「たいむぱLOVEせっくす」はタイムスリップLOVEと、一冊の中で様々なシチュエーションが詰め込まれている。ゲスト作家として参加したあきのそらの「藍より染めて」は、ツンデレ娘の萌えHがテーマだ。13周年記念号ということもあり、王道から少し捻ったネタまで、作家たちが思い思いの「快楽」を表現していることが伝わってくる。正直、このボリュームでこの価格はコスパが良いと思った。
個性が光る作家たちの競演
特に目を引いたのは、Cuvieや羽月ユウト、菊のすけまるといった、情感描写に定評のある作家たちの作品群だ。Cuvieの「Sucre-Coeur」はサキュバスという非日常設定ながら、甘くも切ない空気感を漂わせる。羽月ユウトの「再会ホスピタル」は、憧れの先輩との再会という普遍的なテーマを、どこか懐かしい画風で描いていた。一方で、rcaの「大型連休の過ごし方について」やいちこの「ナカ4シ!」のように、過激でハイテンションな作品も存在感を放つ。このバラエティの豊かさが、雑誌という媒体の醍醐味だと感じさせられた。
そして、ここに至る
全13作品を読み終えて、最も強く感じたのは「時代のスナップショット」としての価値だ。2018年当時のエロ漫画界隈で、人気作家たちが何を考え、どのような作品を描いていたのか。その一端を、この一冊が鮮明に切り取っている。例えば、当時から画力で注目を集めていた作家の初期の仕事を見られるのは、ファンにとってはたまらないポイントだろう。
タグにある「縛り・緊縛」や「人妻・主婦」といった要素は、特定の作品に含まれると思われる。全体を通してのメインテーマではないが、そうした嗜好を持つ読者にも、きっと楽しめる作品が収録されているはずだ。279ページという旅路を経て、最初の低かった期待は、確かな満足感に変わっていた。これは単なる古雑誌ではなく、当時の熱気を封じ込めたタイムカプセルなのだ。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
この作品は雑誌(単話の集合体)です。掲載作家の単行本を既に持っている場合は、重複に注意が必要です。一方、様々な作家の作品を一度に楽しみたい、または特定作家の雑誌掲載版をコレクションしたい方には、この雑誌自体が「お得」な一冊と言えます。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
ほぼ全ての作品が読み切りですので、問題なく楽しめます。雑誌連載作品でも、その号で完結する形で収録されているものがほとんどです。作家ごとの世界観を気にせず、多様な短編アンソロジーとして読むことができます。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
タグから推測すると、「縛り・緊縛」に伴うある程度の拘束プレイは含まれる可能性があります。また、複数プレイを扱った作品もあらすじにあります。ただし、過度な暴力やグロテスクな描写は、この雑誌の傾向からすると少ないと思われます。気になる方は個別の作品リストを確認することをお勧めします。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
作家によって大きく異なります。情感豊かなラブストーリーもあれば、シチュエーションとテンポを重視した実用性の高い作品もあります。全体的には、バランス型の作品が多い印象です。一冊で両方の楽しみ方ができるのが、アンソロジー雑誌の強みと言えるでしょう。
多様な「快楽」が詰まった13周年の軌跡
総合的に判断して、本レビュー評価はBランクとした。その理由は、確かなボリュームと作家陣の豪華さにある。13周年という節目に、誌面を飾った多彩な作品群は、まさに「快楽天ビースト」というブランドが積み重ねてきたものの集大成だ。全ての作品が最高傑作とは言えないが、そこに込められたエネルギーと多様性には価値がある。エロ漫画雑誌の黄金期を感じさせてくれる一冊。これを機に、掲載作家たちの現在の活躍を追いかけてみるのも一興だろう。
