レビュー・徹底解説

👤誰向け?巨乳・人妻好きの実用派
⚠️注意点特になし
おすすめBランク

2016年、あの頃の「肉感」がここにある

言いたいことは山ほどある。だが、まずは落ち着いて聞いてくれ。これは2016年1月に発売されたアンソロジーコミック「アクションピザッツ」のレビューだ。234ページというボリュームに、ポン貴花田、梅谷ケンヂ、久水あるたら複数作家の作品が収録されている。あらすじが示す通り、コスプレ、人妻、ストーカー、淫魔、野外プレイと、多種多様なシチュエーションが詰め込まれた一冊だ。共通するのは「女の子」への強いこだわり。甘い匂い、ぬくもり、きめ細かい肌。そうした官能的な描写を、体温が感じられるほど近くで味わえる。当時の作風を色濃く残す、ある種のタイムカプセル的な作品と言えるだろう。

ポン貴花田「大谷さんのコスプレ事情」―拒絶と悦楽の狭間

「撮っちゃダメ…折角のコスプレ姿なのに、撮られるのも見られるのも好きなのに…だめぇ…」。この台詞が全てを物語っている。ヒロインはコスプレをしている自分を撮影されることに対して、表向きは拒絶を示す。しかし、その内面には「見られることへの悦楽」が確実に存在する。この矛盾、あるいは二面性が作品の核だ。タグに「巨乳」「美少女」があることから、コスプレ衣装と身体のコントラストが強調される描写が期待できる。衣装の皺、肌の露出部分の質感、恥じらいと快楽が入り混じった表情。これらの要素が、「撮影」という行為を通じて増幅されていく過程にこそ、本作の真骨頂がある。自分が望んでいることを認められない、あるいは認めたくない女性の心理描写が、肉体的な興奮とどうリンクするのか。そこに注目したい。

ななみ静「アイビキ。」―人妻の夜のたわむれ

「普段は真面目な奥様が全てを忘れ乱れる時…」。タグにある「人妻・主婦」の魅力を、最もストレートに体現していると思われる作品だ。昼間の社会生活と、夜の私的で欲望に満ちた行動との乖離。その落差こそが、このジャンルの鉄板であり、永遠のテーマである。あらすじによれば、彼女は「夜のまにまに欲情しきった身体を持て余し、ついここに来てしまう」という。この「ここ」がどこを指すのかは明記されていないが、おそらくは非日常的で背徳的な出会いの場だろう。日常の殻を破って現れる、もう一人の自分。堅実な主婦のイメージと、肉欲に溺れる淫らな肢体との対比。正直、こういうのでいいんだよ、と思わせてくれる。画力によって、その変貌の瞬間の表情や、緊張が解けていく身体の描写がどう表現されるかが最大の見どころだ。

大嶋亮「熟コス」―追い詰められた現場の熱気

「修羅場…それは凄惨な現場、もしくは男女の痴情のもつれ…そして漫画原稿が落ちる寸前の現場のことを差す!」。この作品は、一種のメタ的な視点を持っている。漫画制作という「現場」の緊張感と、男女の情事という「現場」の熱気を重ね合わせる。あらすじには「急げ原稿、今度は野外だ!?」とある。つまり、締切に追われる創作活動のストレスや高揚感が、そのまま性的なエネルギーへと転換され、野外という非日常の舞台で爆発するという構図が想定される。これは非常に興味深い。創作の熱中と性の熱中は、確かに紙一重の部分がある。デスクに向かう集中力が、相手の身体を貪る集中力へと変容する瞬間。ページをめくる手が早くなるのは、ストーリーの展開だけでなく、この「二重の修羅場」から放たれる独特の熱量に引き込まれるからだ。この発想には参った。

購入前に知っておきたいこと

Q. 単行本と単話、どっちがお得?

本作は雑誌(単話)です。234Pとボリュームは十分ですが、単行本のように一つの長編ストーリーを楽しむものではありません。複数作家のショートストーリーを味わうアンソロジーとしてのコスパを考えましょう。

Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?

各作品は基本的に完結したショートストーリーです。シリーズものや続編はあらすじからは確認できませんので、単体で十分楽しめるでしょう。作家ごとの世界観を気軽に味わえるのがアンソロジーの利点です。

Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?

与えられたタグとあらすじからは、過度な地雷要素は見受けられません。梅谷ケンヂ作品の「浮気」や「ストーカー」といった要素はありますが、おそらくは痴情のもつれの範疇でしょう。極端な描写は期待しない方が良いです。

Q. ストーリー重視?実用性重視?

ショートストーリーながら、各作品には「コスプレと羞恥」「人妻の二面性」など明確なシチュエーションと心理描写があります。つまり、実用性を支えるための最低限のストーリーはしっかりある、というバランス。画力とシチュの相乗効果を求めたい人向けです。

多様な「肉感」を詰め込んだ2016年の断面図

総合してBランクと評価した。その理由は明確だ。234ページという大ボリュームで多様な作家の「肉感」を一度に味わえる点は大きな強み。特に人妻やコスプレといった鉄板シチュエーションを、当時の流行りを反映した画風で楽しめるのは、ある種のマニアにはたまらない。一方で、アンソロジーであるが故に、作品間の画力やテイストのばらつきは否めない。一本の長編としての没入感や、一つの世界観にどっぷり浸かる体験を求めるなら物足りないかもしれない。しかし、複数の短編をサンプルのように楽しみ、気に入った作家を発見する「探索の楽しみ」がある。久しぶりに当たりを引いた、というよりは、懐かしい駄菓子の詰め合わせを開けるような、そんなノスタルジックな実用性が感じられる一冊だ。

📊 総合評価
Bランク
エロさ★★★★☆
画力★★★☆☆
ストーリー★★★☆☆