メンズゴールド 2022年07月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
アンソロジーの醍醐味、12の扉を開ける
「メンズゴールド」は、その名の通り多様な作家の作品を集めた漫画雑誌だ。2022年7月号は250ページに及ぶボリュームで、12本以上の作品が収録されている。これは単行本一冊分を超える分量だ。一つの世界に没入する単行本とは異なり、様々な味を少しずつ楽しめるのがアンソロジーの魅力。今回の号は、幼なじみ、人妻、教師、アイドルなど、多岐にわたるシチュエーションを網羅している。正直、このページ数でこの価格はコスパがいい。電車では絶対に読むな。これは忠告だ。
実録風エピソードからファンタジーまで、多彩な「肉」の饗宴
この号の独自性は、そのバラエティの豊かさにある。特に目を引くのは、八月薫による『ずっと秘密にしていたアノコト 全部教えます』だ。これは読者の実体験を基にした実録風エピソードを描く新シリーズ。着ぐるみバイトやボウリング場といった日常の延長線上にエロスを見出す視点は、現実味があり、独特の没入感を生む。一方で、速野悠二の『不思議の大家さん♪』のように、現実離れした不思議な設定の作品も同居する。この対照性が、読者を飽きさせない。どの作品も「女性ホルモンマシマシの汗汁」というキャッチコピー通り、生々しい肉体描写に重点が置かれている印象だ。滝れーきの『苦手なアイツは幼馴染み』に登場する「ガタイがよくていつもいじめてくる」巨娘など、個性的なヒロインが目白押しだ。
連載陣の充実度が読み応えを左右する
アンソロジー誌の評価は、連載作品の質に大きく依存する。今号では、香月りおの『♯ただ今より牝ブタ裁判を始めます。』が第10話、まひるの影郎の『妹の心を守りたい』が第五話と、中盤以降の展開を見せる作品が複数収録されている。これらの連載を追っている読者にとっては、定期的な「栄養補給」の場としての価値が高い。ドリルムラタの『週末童貞』は最終話であり、一つの区切りを迎えている。連載ものと読み切りが混在する構成は、新規読者にも既存ファンにも配慮したバランスと言える。
「月刊アクション」や「COMIC快楽天」の読者なら
様々な作家の作品を一度に楽しめる点では、同じアンソロジー形式の「月刊アクション」や「COMIC快楽天」に近い立ち位置だ。ただし、「メンズゴールド」はやや熟女・人妻系の作品の比重が高めかもしれない。星月めろんの『人妻お母さんと疑似母子生活』や、大見武士の『晩花の熱』など、大人の女性を題材にした作品が複数見られる。また、MON-MONやかわもりみさきなど、肉感的で柔らかな作画が特徴的な作家が揃っている点も共通項だ。この画風が好きなら、きっと満足できる一冊だろう。自分はMON-MON先生の描く「肉」の柔らかさに、毎回どうやって描いてるんだと唸ってしまう。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
250ページで単行本以上のボリュームがあり、コスパは非常に良い。ただし、好きな作家の単行本を集めたいか、様々な作家の作品をサンプルしたいかで選択が分かれる。まずはアンソロジーで好みの作家を見つけるのも一つの手だ。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
ほとんどの読み切り作品は問題ない。しかし、『牝ブタ裁判』(第10話)や『妹の心を守りたい』(第五話)など、連載ものは前後の話を知らないと理解に苦しむ可能性がある。あらすじがないため、完全な新規参入にはややハードルが高い作品も含まれる。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
杉友カヅヒロの作品には不倫要素が、香月りおの作品には恥辱・嗜虐的な描写が含まれていると思われる。極端な暴力やスカトロといったハードコアな要素は見当たらないが、各作品のテーマは多様なので、苦手なシチュエーションは飛ばし読みできるのがアンソロジーの利点だ。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
作品によって大きく異なる。八月薫の実録シリーズはシチュエーションのリアリティに重きを置き、まひるの影郎の作品は心情描写が細やかだ。全体的には、明確なシチュエーション設定のもとでの濃厚なエロ描写を楽しむ「実用性寄り」の作品が多い印象を受けた。
多種多様な「エロのサンプラー」としての価値
結論から言えば、これは「エロ漫画のサンプラー」として機能する一冊だ。一つの作品に深くハマるというよりは、様々な作家の画風やシチュエーションの好みを探るのに最適である。250ページというボリュームは、読み応えという点で文句なしだ。特に、これから新しく好きな作家を開拓したいと思っている読者には強くおすすめできる。MON-MON、滝れーき、星月めろんといった実力派作家の最新作に、手軽に触れられる機会は貴重だ。ただし、連載作品をきちんと追いたいのであれば、バックナンバーも確認する必要がある。この雑誌をきっかけに、自分の新しい性癖が開花するかもしれない。思わず「この作家、他に作品あるかな」と検索してしまった。
