アクションピザッツ 2022年9月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
正直に言うと、アンソロジー誌は不安だった
アンソロジー誌を手に取る時、いつも一抹の不安がつきまとう。好きな作家が1人でもいればいい。しかし、全く知らない作品ばかりだったらどうしよう。特に外部評価(FANZA)では3.00点(1件)と、評価が少なく判断材料に乏しかった。372ページというボリュームは魅力的だが、その中身は未知数だ。人妻ものに特化した「夏の特別号」という触れ込みに、期待と警戒が入り混じる。果たして、この夏を彩る一冊となるのか。
読み進める中で、作家の個性が光り始めた
ページを開くと、まず目に飛び込むのは三上キャノン『星ケ丘スターバレー』の巻頭カラーだ。鮮やかな色彩と洗練された画風が、誌面のクオリティを一気に引き上げる。正直、画力だけで買う価値があると感じた。続く各作品は、まさに「人妻」というテーマを軸に、多様なアプローチを見せる。大嶋亮の異世界転生もの、EBAの現代社会を題材にしたもの、彩画堂のファンタジーまで、バリエーションは豊富だ。
短編ゆえに、ストーリーの深みには限界がある。しかし、その制約の中で作家たちは「エロス」の核心を突こうとする。日常のほころびから始まる背徳感、抑えきれない感情の爆発。どの作品も、導入からクライマックスへの疾走感が心地よい。深夜に読み始めて、気づいたら空が白んでいた。一気読みのリズムを作るには、短編アンソロジーは最適な形式だと思った。
そして、ここに至る。多様性こそが武器
この号の真の価値は、一つのジャンルを多角的に照射する点にある。例えば、英丸『蕩けるよめはは』は、義母という近親かつ人妻という複合的なシチュエーションを描く。一方で、松波留美『お届けガール つまみ食い』は、配達員という日常的な接触から生まれるエロスだ。同じ「人妻」でも、その捉え方や演出は作家によって全く異なる。
この多様性が、読者の様々な性癖に応える。一つの作品で全てを満たすのは難しい。しかし、18もの作品が集まれば、必ず一つは心に刺さるものがある。自分は、十はやみ『きっと、これも運命』の、どこか切ない雰囲気にやられた。短編だからこそ余韻が残る、そんな読み心地だった。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
単話(雑誌)購入がおすすめです。この号には18作家の作品が収録されており、単行本化されるかは不透明です。気になる作家の初期作品や、雑誌限定の読み切りを楽しむには、今がチャンス。372ページでこの価格はコスパが良いと言えます。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
ほぼ全ての作品が読み切りまたは新連載のため、問題なく楽しめます。『アクションピザッツ』は毎号テーマを変えたアンソロジー誌なので、今号だけを購入するのが一般的です。作家のファンなら、その作家の他の作品を知っているとより深く楽しめるでしょう。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
あらすじから推測するに、多くの作品が「人妻」を題材としているため、既婚者との関係を描いたNTR的な要素を含む可能性は高いです。ただし、過度な暴力やスカトロなど、特殊な嗜好を前面に押し出した作品は少ないと思われます。あくまで背徳感を主軸にした作品が中心です。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
短編アンソロジーの性質上、緻密なストーリーよりは、シチュエーションとエロス描写に重点が置かれています。実用性を求める読者にも、様々な画風とシチュエーションが用意されているので満足できるでしょう。一方で、短いながらも情感を込めた作品もあり、バランスは取れています。
人妻愛好家のための、夏の作品見本市
総合的に判断して、本レビュー評価はBランクとする。決して万人に刺さる傑作号ではないが、「人妻もの」という特定のジャンルを愛する読者にとっては、非常に充実した一冊だ。18もの作家が同じテーマで競演する様は、ある種の見本市のよう。自分の好みの作家を発見するきっかけにもなる。外部評価が低くても、それは評価者の数が絶対的に少ないため。372ページというボリュームを考えれば、投資対効果は十分にある。この夏、一風変わった涼み方を求めるなら、手に取る価値はある。
