アクションピザッツ 2022年7月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
夏の扉を開ける、8つの濃厚なエロス
真昼の畑で開放的に行為に及ぶ田舎娘。記憶喪失の男と和服美人の逃亡劇。呪われた島で繰り広げられるパラダイスな日常。これらは全て、一冊の漫画誌に収められた物語の断片だ。アクションピザッツ2022年7月号は、8人の作家による濃密な世界が詰まったアンソロジーである。それぞれが異なるシチュエーションとエロスを提示し、読者の好みに合わせて多様な楽しみ方を提供してくれる。一つの世界に没入する単行本とはまた違う、気軽で豊かな体験がここにある。
雑誌ならではの「発見」と「ギャップ」の楽しみ
この作品が持つ最大の魅力は、その「多様性」にある。あらすじから推測されるように、舞台は孤島から田園、洋館、学校まで多岐に渡る。ヒロインも、貞淑そうな田舎娘、発情メイド、和服美人とバリエーション豊かだ。マンガ誌という形式は、知らなかった作家の作風に出会う「発見」の場として機能する。さらに、表紙や誌面のビジュアルから受ける「真面目そう」な印象と、内容の濃厚なエロ描写との間に生まれる「ギャップ」も一興である。このギャップが、作品への没入感をより深いものにしていると思われる。
正直、普段は単行本派の自分だが、こうして色々な作家の腕前を一度に味わえるのは雑誌ならではの楽しみだ。特に気に入った作家がいれば、その単行本を探すきっかけにもなる。374ページというボリュームは、まさに「夏のエロス詰め合わせパック」と言える。久しぶりに「買ってよかった」と思えた一冊だった。
多彩なシチュエーションが織りなす濃密な世界
8編の作品は、それぞれが独自の色を持ち、読者を異なる興奮へと誘う。あらすじから伺える、特に印象的な世界をいくつか取り上げてみよう。
開放と禁忌が交差する「めしべの咲き誇る島で」
彩画堂による『めしべの咲き誇る島で』は、楽園と地獄が表裏一体となった世界を描く。性的に開放的な女性たちと三食昼寝付きセックス付きのパラダイス。しかし、その背景には「呪い」が潜んでいる。この作品のおそらく最大の見どころは、享楽的な日常の中に、不気味なまでの違和感がじわりと滲み出てくる緊張感にある。安心と不安が混ざり合う独特の空気感が、エロスに一種の背徳感と深みを加えている。
日常の隙間から溢れ出す情熱「大空と軽トラと田舎娘と」
朝倉クロックの『大空と軽トラと田舎娘と』は、田園という開かれた日常空間で繰り広げられる秘め事に焦点を当てる。誰もいない畑という非日常的な「日常」の場で、美人女子が開放的に行為に及ぶ。このシチュエーションの魅力は、清らかで健康的な田舎のイメージと、そこで行われる濃密な行為との対比にある。隠す必要のない解放感が、かえって官能を増幅させていると思われる。こういうのでいいんだよ、と思わせてくれる清々しいエロスだ。
記憶を失った男と和服美女の一夜「フリダシニモドル」
牧部かたるの『フリダシニモドル』は、記憶喪失というミステリアスな要素を絡めた、刹那的で濃密な関係を描く。和服美人の生け花個展から始まる逃避行は、非現実的なロマンスを感じさせる。時間的制約のある中での「一時のデート」は、その後の行為をより熱く、切ないものに昇華させるだろう。日常から切り離された、夢のような時間の流れが作品全体を包み込んでいる。
作家ごとに異なる「肉感」と「表情」の表現技法
アンソロジーである本作の面白さは、画風の違いを一度に比較できる点にもある。あらすじから作家名を確認できるが、彩画堂、タカスギコウ、ポン貴花田、朝倉クロック…それぞれに確固たる作画の個性があるはずだ。例えば、彩画堂の描く「呪われた島」の女性たちの肉感と、朝倉クロックが描く「田舎娘」の健康的な肢体では、同じ「柔らかさ」でも質感が異なるだろう。牧部かたるの和服美女のたおやかな表情と、かわもりみさきの発情メイドの熱狂的な表情も、対照的であるに違いない。
374ページに及ぶページ数は、単に量が多いだけでなく、多様な表現技法のサンプル集としての価値も生んでいる。自分は特に、ポン貴花田『あなたのものになりました』の「くんずほぐれつ」という表現が気になった。どのような動的な絡みを「くんずほぐれつ」と表現しているのか、その作画の動きと熱量に思わず唸ってしまった。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
単行本は一作家の世界に深く没入したい人向け。本誌は8作家の多様な作風を一度に楽しみ、新たな好みの作家を発見したい人に最適です。374ページで複数作家を味わえるコスパは雑誌の強みです。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
各作品は基本的に読み切り形式です。シリーズものや続編はあらすじからは確認できませんが、雑誌掲載の読切が多いため、ほぼ問題なく楽しめるでしょう。むしろ新規読者向けの入り口として機能します。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
あらすじからは明示されていません。ただし、タカスギコウ『煉獄の園』には「罪」「罰」といった言葉があり、やや重いテーマを含む可能性があります。全体的には多様な純愛・日常系シチュが中心と思われます。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
作品により分かれます。『煉獄の園』『フリダシニモドル』はストーリー性が強く、『大空と軽トラ~』『発情メイド~』はシチュエーションと実用性を重視した構成と思われます。両方の楽しみ方ができるバランス型です。
夏の始まりにふさわしい、エロスの饗宴
アクションピザッツ2022年7月号は、一冊で多様なエロスを体験できる優れたアンソロジーだ。特定の作家やジャンルに縛られず、気軽に色々な世界を覗いてみたい読者に強く推せる。外部評価(FANZA)では4.00点(2件)と高評価を得ており、その品質の高さが窺える。全ての作品が万人に刺さるとは限らないが、その中から必ずや「当たり」となる一編が見つかるはずである。夏の訪れを告げるように、軽やかで濃厚な時間を提供してくれる一冊だ。
