アクションピザッツ 2022年5月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
春のアンソロジー、その厚みと熱量を手に取る
アクションピザッツの単行本を手にした。まず感じたのはその重さだ。372ページというボリュームは、単行本一冊分を超える。最初は半信半疑だった。これだけの作品が一冊に詰まっているのか、と。しかしページをめくれば、その疑問はすぐに解消される。多様な作家陣による、春をテーマにした濃厚な物語たちが待ち構えている。これは単なる雑誌ではなく、一つの「季節のエンタメパッケージ」と言えるだろう。
読み込むほどに広がる、作家たちの個性
表紙からは想像しきれない、それぞれの世界観がここにある。一通り読むと、単なる寄せ集めではないことがわかる。各作家が「春」という共通のテーマを、独自の解釈で描き出しているのだ。
王道から狂気まで、シチュエーションの幅広さ
あらすじからも窺えるように、収録作品のバリエーションは豊富だ。十はやみ先生の「平凡な大学生の僕ですが…」のような、非日常的な恋愛劇。ポン貴花田先生の「あなたのものになりました」のような、ドタバタコメディタッチの近親もの。そして彩画堂先生の「めしべの咲き誇る島で」のような、常識外れのファンタジーまで。一つの誌面でこれだけのジャンルを体験できるのは、アンソロジーならではの魅力だ。自分の好みの作品を発見する楽しみがある。
画風のコントラストが生む新鮮さ
もう一つの見どころは、作家ごとの画風の違いだ。繊細な描写から力強い線画まで、ページをめくるごとに視覚的な刺激が変わる。正直、この画風の切り替わり自体が一種のリズムになる。ある作品でたっぷりと情感を味わった後、次の作品でテンポの良いコメディに笑う。そんなメリハリが、372ページという長丁場を退屈させない。大嶋亮先生の「淫魔女子大生の憂鬱」最終回が特別カラーなのも、誌面のアクセントとして効果的だと思った。
濃厚なエロスと、そこに至る物語
多くの作品は、しっかりとしたシチュエーション設定から始まる。単純な腰振りではなく、「なぜその関係に至るのか」という過程にページを割いている印象だ。タカスギコウ先生の「煉獄の園」では、義母との間に貼られたレッテルとはがすまでの心理。ザキザラキ先生の「みち代さんの火遊び」では、不倫関係からの離脱と誘惑の葛藤。エロスシーンそのものの描写力もさることながら、そこに至る「熱」の描き方に、それぞれの作家の力量が現れている。
正直なところ、アンソロジーならではの課題も
もちろん、全ての作品が万人の好みに合うわけではない。これだけ多様な作家とテーマが集まれば、当然だ。ある読者にはたまらない一編が、別の読者にはピンと来ないかもしれない。また、連載作品の途中話が含まれるため、「前編」のみの作品もある。物語の完結を求める読者には、少し物足りなさを感じる部分もあるだろう。しかし逆に言えば、ここで気に入った作家を見つけ、その単行本を追うきっかけにもなる。アンソロジーは、未知の作家との出会いの場でもあるのだ。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
この「アクションピザッツ」は雑誌(単話誌)そのものです。372ページでこの価格は、単行本数冊分に相当するボリューム。多作家制を楽しみ、コスパを求めるなら本誌が圧倒的にお得です。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
ほとんどの作品は単発または短編で完結しており、問題なく楽しめます。大嶋亮先生作など一部連載の最終回もありますが、その話の中で一つの区切りがつくように描かれています。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
あらすじから推測する限り、過度な暴力やスカトロ描写はなさそうです。ただし、不倫や近親ものなど、一般的に「苦手」とされるシチュエーションは複数含まれます。作品ごとのテーマ確認がおすすめです。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
作家によりけりですが、全体的には「シチュエーションと心理描写を踏まえたエロス」に重点が置かれています。純粋な実用性のみを求めるより、短い物語としてのめり込みたい人に向いているでしょう。
で、結局のところこの一冊の価値は?
結論から言おう。特定の一作家に絞り込まず、様々な「春のエロス」を味わいたい人にこそ、この一冊は推せる。外部評価(FANZA)でも4.00点と高評価なのは、そのボリュームとバラエティの豊かさが支持されている証左だろう。一つの世界に深く没入する単行本とは異なる、軽やかな読書体験がここにある。気になる作家を数人見つけ、その単行本を探す旅の始まりとして、あるいはただ漫然と多様なエロティシズムに浸りたい時の「おかず箱」として、その役割は十二分に果たしている。買ってよかった、と思わせてくれる一冊だ。
