アクションピザッツ 2021年9月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
「夏のエロアンソロジー」は時代遅れか?
「アクションピザッツ」は、隔月で発行されるエロ漫画雑誌だ。2021年9月号は、366ページというボリュームで夏の欲望を詰め込んでいる。しかし、外部評価(FANZA)では1.00点(1件)と、極めて低い評価が付いている。これは単なる評価のブレなのか、それともこの「雑誌」という形式そのものが現代の読者に受け入れられなくなっている証左なのか。この号を分析することで、アンソロジー誌の現在地を探ってみたい。
夏の開放感と多様なシチュエーション
あらすじからは、この号が「夏」を強く意識した構成であることが読み取れる。水着や薄着、開放感あふれる日差しといったキーワードが並び、季節感を全面に押し出した編集方針が感じられる。ここだけの話、366ページという厚さは、コスパという点ではまずまずの印象だ。複数の作家による短編が収録されるアンソロジー誌ならではの、多様な味わいを一度に楽しめる利点は、今も健在と言えるだろう。
禁忌と日常の交差点
収録作品のタイトルを見ると、いくつかの傾向が見えてくる。英丸『ギリギリの女達』の「義理の息子とオナニーの見せあい」や、高橋こばと『HONEY TRIP』の「町内会長さんの長男の嫁」といった表現からは、近親や社会的に近しい関係性の中での禁忌が一つのテーマとして扱われていると思われる。ザキザラキ『若い男は蜜の味』の「人妻」や、ポン貴花田『うらばれ』の「地味OL」など、日常の延長線上にエロスを見出す作品も多い。これは、非現実的なファンタジーよりも、現実に根差したシチュエーションを好む読者層を想定しているのかもしれない。
「恥ずかしさ」という共通言語
もう一つ注目したいのは、「恥ずかしさ」という感情の描写だ。亀吉いちこの作品タイトルには「めっちゃ恥ずかしい」と直接記され、ポン貴花田の作品では「見せつけちゃえ」という相反する感情が並置されている。この「羞恥」と「開示」の間で揺れる女性の心理描写が、多くの作品で重要な要素となっていると推測できる。正直、こういう「恥じらい」と「欲情」の狭間を丁寧に描く作品は、自分の好みに刺さる。読者は、キャラクターの内面の葛藤に共感し、没入することで、より強い興奮を得られる構造になっているのだ。
単行本時代のアンソロジー誌という立ち位置
現代のエロ漫画市場は、デジタル単話販売や作家個人の単行本が主流だ。その中で、複数作家による雑誌という形態は、ある種の「レガシー」と言えるかもしれない。利点は、一冊で多様な作家の画風やストーリーに触れられる「お試し感覚」と、ページ数に対するコストパフォーマンスにある。一方で、作家によって作画レベルやストーリーのクオリティに差が出やすい点、連載作品の途中から読むことになる可能性がある点が弱点だ。この「アクションピザッツ 2021年9月号」は、夏という季節をテーマに作品を束ねることで、単なる寄せ集めではなく、ある種の「コンセプトアルバム」としての価値を打ち出そうとしている。特定の作家を追うのではなく、特定の「雰囲気」や「テーマ」を求める読者にとっては、今でも有用な媒体であると言える。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
366ページで単行本1冊分以上のボリュームがあります。複数作家の作品を一度に楽しみたい、コスパを重視するなら本誌がお得です。特定の作家の作品だけを確実に読みたいなら、単行本や単話購入が無難でしょう。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
ほとんどの作品は短編完結型と思われるので、問題なく楽しめます。十はやみ『タンタシオンの隣人 season2』のみシリーズ物ですが、単体でも理解できるように作られているはずです。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
あらすじから明確な地雷要素は読み取れません。ただし、「義理の息子」や「人妻」など、近親や背徳を感じさせるシチュエーションは複数含まれます。これらを地雷と感じる場合は注意が必要です。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
作家によりけりですが、「恥ずかしさ」や関係性の葛藤を描く作品が多いため、ある程度のストーリー性を伴った実用性重視と言えます。純粋な抜き画だけを求める読者には物足りない可能性があります。
夏の一夜限りの出会いとして楽しむ価値
総合的に判断して、この「アクションピザッツ 2021年9月号」はBランクと評価したい。圧倒的な傑作が詰まっているわけではないが、366ページというボリュームと、夏の禁忌と開放感をテーマにした多様な作品群は、一定の楽しみを約束してくれる。外部評価の低さは気になるが、あくまで1件の評価であり、作品の多様性を考えると個人の好みが大きく分かれるのは当然だ。自分の場合は、亀吉いちこやポン貴花田の作品のような、恥じらいと積極性の拮抗するヒロイン描写にグッとくるものがあった。アンソロジー誌は、未知の作家との出会いの場でもある。この厚い一冊をめくれば、きっとあなたの好みに合う「夏の一編」が見つかるはずだ。
