アクションピザッツ 2021年5月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
アンソロジー誌という名の「エロ漫画の祭典」
「アクションピザッツ 2021年5月号」は、その名の通りアンソロジー漫画誌だ。単一の作家による作品集ではなく、複数の作家による短編が集まった雑誌形式である。364ページというボリュームは、単行本一冊を軽く超える分量だ。正直、このページ数を見た時は「読み応えありすぎるだろ」と思った。一つの世界観に深く没入するタイプの作品ではない。その代わり、様々な作家の画風、様々なシチュエーション、様々な「萌え」を一度に味わえるのが最大の特徴と言える。外部評価(FANZA)では3.00点(1件)と、評価件数が少ないため判断が難しいが、アンソロジー誌は好みが分かれやすいジャンルでもある。
十人十色の「肉感」と「シチュ」が詰まった宝箱
この号の独自性は、まさにその「多様性」にある。あらすじからも窺えるように、一冊の中に実に幅広いテイストが収録されている。例えば、十はやみによる継続シリーズ『タンタシオンの隣人 season2』では、欲望剥き出しのマンションという濃厚な日常が描かれると思われる。一方で、かわもりみさき『Hな町の熊谷さん』は、町を歩くだけで男性を誘惑してしまうサキュバス的なヒロインが登場するファンタジー色の強い作品だ。さらに、異世界転生ものと推測される『天女と指輪』や、パワハラ上司への逆襲を描く『部下の男』、整体という日常に潜む背徳を扱う『整体通いは主婦の嗜み』まで、その守備範囲は広い。一つの性癖に特化せず、様々な「エロスの形」をサンプリングできる点が、他の単行本にはない魅力だ。
「噛み」から「甘やかし」まで、緩急のある描写
あらすじの最後に「がうがう・あま噛みしてくる女子」というフレーズがある。これは作品全体の一つのキーワードかもしれない。攻撃的でありながら、その後に訪れる「なでなでごろごろ」の甘々な時間。このような緩急のある関係性描写が、複数の作品に通底するテーマとなっている可能性が高い。一方的な奉仕や支配ではなく、互いの欲望が噛み合う瞬間を多角的に描く。そんな編集方針が感じられる。自分はこの「噛んだ後の甘え」という流れに、妙に納得してしまった。ある種の等価交換、愛情の確認作業として非常に刺さる描写だ。
「漫画雑誌」という古くて新しい楽しみ方
この作品を楽しめる人は、かつての漫画雑誌を買って読んでいた世代、あるいはその楽しみ方を知る人に近いかもしれない。一冊で複数の連載を追い、気になる作家を見つけ、次回作を心待ちにする。デジタル単話購入が主流の今、この「雑誌をめくる体験」自体がレトロで新鮮に感じられる。類似する楽しみ方は、やはり他のアンソロジー誌、例えば「COMIC HOTMILK」や「COMIC アンスリウム」などを定期購読することだろう。ただし、「アクションピザッツ」はあらすじから判断するに、より「背徳感」と「日常の中の非日常」に焦点を当てた作品群を集めている印象を受ける。純愛一色ではなく、少し捻くれた、大人の事情が絡むシチュエーションを好む読者にフィットするラインアップだ。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
本作は雑誌(単話の集合体)です。364ページで単行本約2冊分のボリュームがあり、コスパは非常に高いです。ただし、気に入った作家の単行本を集めるのとは別の楽しみ方だと捉えましょう。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
ほとんどの作品は単発または短編です。『タンタシオンの隣人 season2』のようにシリーズ物もありますが、各話完結型なので問題なく楽しめるでしょう。むしろ新連載を見つける楽しみがあります。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
あらすじから推測する限り、明確な地雷タグに該当する作品は見当たりません。不倫やパワハラを題材にしたものはありますが、描写は一般的な成人向け漫画の範疇と思われます。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
作品によりけりです。短編なのでストーリーの密度は高く、実用性も追求されています。画風も作家によって大きく異なるため、自分の好みに合う「当たり」を探す過程自体が楽しめます。
エロ漫画の「食べ放題」へようこそ
結論から言おう。この雑誌は、特定の性癖にガッチリハマりたい人ではなく、「今日は何を食べようか」と迷うような、気分で読みたい作品を変えたい人にこそおすすめだ。364ページという大海原を泳ぎ、気になる画風やシチュエーションの作家を見つける。それは一種の宝探しであり、新たな「推し」作家との出会いの場でもある。全ての作品が自分に刺さるとは限らない。しかし、その中から一つでも「当たり」を見つけられた時の喜びは、単行本一冊を買う以上のものがある。画力もストーリーも作家によってピンキリだが、それも含めた「雑誌」という体験を味わいたい人には、十分な価値がある一冊だ。
