アクションピザッツ 2021年4月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
376ページのアンソロジーは、欲望のショーケースだ
アクションピザッツ2021年4月号は、単一の物語ではない。複数の作家による短編が集まったアンソロジー誌である。その存在意義は明確だ。多様な「エロスの断片」を一度に提供し、読者の好みに合う作品との出会いを確率論で担保すること。つまり、これは「欲望のショーケース」であり、一つの完成された芸術作品を求める場ではない。評価の基準は、どれだけ効率的に「刺さる」シチュエーションや画を提供できるか、にある。正直、このボリュームでこの価格はコスパが良い。ページをめくるたびに別の世界が待っている感覚は、単行本とはまた違う興奮がある。
「巨乳」と「人妻」が支配する、濃厚な世界観
あらすじとタグから、この号の傾向は明白に読み取れる。多様性の中に、確固たる指向性が存在するのだ。
タグが示す、読者への確信犯的なアプローチ
与えられたタグは「マンガ誌」「人妻・主婦」「巨乳」「姉・妹」の4つ。形式タグを除けば、「人妻・主婦」と「巨乳」がこの号の二大テーマと言える。あらすじを確認すると、ポン貴花田氏のOLもの、三上キャノン氏の「大人のおもちゃ」、亀吉いちこ氏の「新妻さん」、武林武士氏の「豊乳母娘」など、まさにこのタグ通りの作品が目白押しだ。編集部がこの号で狙った読者層は、巨乳フェチかつ人妻もの好き、という非常に具体的な性癖の持ち主であると推測できる。これは散弾銃的なアンソロジーでありながら、ある種の選球眼を持っている証左だ。
あらすじから透ける、濃厚なシチュエーション群
各作品のあらすじを仔細に見ていくと、さらに傾向が細分化される。「うらばれ」の“裏アカ持ち地味OL”、“ごほうし学園”の“搾精天使”、“びゅっとしてハラハラ”の“中出し好き”彼女、“僕は君の犬”の“清楚な女性の卑猥な言葉”、“ノーブラ好き”の“露出狂みたい”な彼女。これらは全て、「日常の中の非日常」「表と裏のギャップ」を興奮の源泉としている。地味なOLが実は…、真面目な新妻が実は…、という構図が繰り返される。この「実は」の部分を、肉体的な描写(巨乳)と社会的な立場(人妻・OL)で補強する。この組み合わせが、この号の基本的なレシピだ。
画力の多様性が生む、異なる肉感の饗宴
アンソロジー最大の魅力は、複数の作家の画風を一度に楽しめる点にある。同じ「巨乳」でも、ポン貴花田氏の描くものと、武林武士氏の描くものでは、その質感や存在感が全く異なるはずだ。あらすじの表現を借りれば、「柔らかさと豊かさ」の解釈と表現が作家ごとに変わる。これは単行本では得難い体験である。自分好みの「肉」の描き方の作家を見つける、あるいは新しい好みを発見するきっかけになり得る。画風の好みは人それぞれだが、選択肢が多いことは強みだ。
雑誌という形式の、ある種の「雑食性」の価値
単行本が「一つの世界に深く潜る」体験だとすれば、アンソロジー誌は「浅く広く味見する」体験だ。同ジャンル、例えば「巨乳アンソロジー」や「人妻アンソロジー」と比較した場合、この「アクションピザッツ」4月号の特徴は、この二つの要素を中心に据えつつも、他のシチュエーション(年下攻め、露出、中出し)を混ぜ込んでいる点にある。純粋な「巨乳だけ」「人妻だけ」の誌面よりも、ややマイルドで入り口が広い。逆に、特定のシチュエーションに特化した単行本と比べると、一つのテーマに対する掘り下げの深さでは劣る。つまり、これは「自分の好みがまだはっきり固まっていない」「今日は何が食べたいか決めかねている」状態の読者に最適な形式と言える。思わず「この作家、他に作品あるかな」と検索してしまった経験は、アンソロジー読者なら誰しも持っているだろう。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
「お得」の定義による。一つの話を深く楽しみたいなら単行本。多くの作家の画風やシチュを一度に味わい、新たな好みを発見したいなら、このような雑誌(単話の集合体)が向いている。376ページというボリュームは単行本数冊分に相当する。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
ほぼ問題ない。アンソロジー収録作品の多くは短編完結型であり、今号から新連載の作品も含まれる。武林武士氏の「豊乳母娘」のみ「最終回」とあるが、短編の締めくくりと推測され、単体でも楽しめる内容と思われる。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
あらすじとタグから判断する限り、過度な暴力やスカトロなどの過激な地雷要素はなさそうだ。ただし、「人妻」タグが含まれるため、既婚者を題材とした作品は存在する。また「僕は君の犬」の“押し倒す”など、やや強引な展開も見受けられる。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
総合的に見て実用性重視の色が濃い。短編が多いため、細かい心理描写や複雑なストーリー展開よりも、シチュエーションの面白さと肉体的な描写に重点が置かれている作品が多い。あらすじからも「やるしか!?」「発射しちゃおう」といった直球の表現が目立つ。
欲張りな性癖の、効率的な摂取マシン
アクションピザッツ2021年4月号は、特定の性癖(巨乳、人妻)を強く打ち出した、目的志向のアンソロジーだ。全ての作品が傑作であるとは言い難いが、その分「当たり」を引く確率も高い。外部評価(FANZA)では5.00点(1件)と、評価件数は少ないものの満足度は高い数値が出ている。本レビュー評価としては、その狙いの明確さとボリュームに対するコストパフォーマンスを評価し、Bランクとする。巨乳と人妻、そして日常の裏側に潜むエロスに心躍る読者にとって、これはまさに「欲望のデパート」である。一つの作品に深くハマるというよりは、軽い気持ちでさまざまな“味”を楽しむのに最適な一冊だ。久しぶりに「雑誌を買うのも悪くない」と思わせてくれた。
