COMICネクロシスvol.23のレビュー・感想・徹底解説

レビュー・徹底解説

👤誰向け?リョナ/ゴア愛好家
⚠️注意点残虐表現多数
おすすめBランク

「リョナ」というジャンルの祭典、その狂宴に足を踏み入れる

最初は半信半疑だった。「東洋一のゴアグロ誌」というキャッチコピーに、どれほどの覚悟が込められているのか。表紙の生首サロメを見て、その疑問は確信に変わった。これは、普通のエロ漫画ではない。リョナという特殊なジャンルに、一切の妥協なくコミットしたアンソロジーだ。9人の作家が、それぞれの狂気を解き放つ。読む前から、覚悟を決める必要がある。心地よいものは、ほとんどない。

狂気のパレット、9色の異なる絶望

一口にリョナと言っても、その表現は多岐にわたる。このアンソロジーは、その多様性を体現している。表面的には「痛い」「気持ち悪い」で片付けられがちな描写の裏側に、作家ごとの強い美学と物語性が潜んでいる。じっくり読み込むと、単なるグロ描写ではない、それぞれの「こだわり」が見えてくる。

bowalia「人間損壊」の近未来ダークヒーロー

再生医療が発達した世界で、肉体を武器にする闘士が惨殺される。この設定からして、SF的ダークファンタジーの匂いがする。主人公のシアが孤児院の名前と共に遺体を発見するというプロットは、単純な猟奇殺人を超えている。警察に疑われるというシチュエーションも、サスペンス要素を強く感じさせる。リョナでありながら、ストーリーの骨太さを追求している作品と思われる。

速水くろ「ゴア・ロア」の民俗ホラー

ドライブ中にエンストした主人公が、妖艶な美女に声をかけられる。ここまではありがちなホラー序章だ。しかし、その先に待つのは「祭りの準備」のため血まみれの老女と、生きたまま皮を剥がされた老人である。この描写は、単なるグロではなく、ある種の「儀式」や「信仰」を匂わせる。不老不死の人面瘡にまつわる血の祝祭というテーマは、日本の怪談や伝承を下敷きにした、深みのあるホラーとして成立している可能性が高い。

岩久月「下半身ジャック」の絶望的シチュエーション

肝試しで床を踏み抜き、上半身だけ飛び出た状態に陥るヒロイン。この時点で、もう逃げ場はない。勝負下着を身に着けていたというディテールが、さらに絶望に拍車をかける。待ち受けるのは斧を持った変質者。あらすじの注記にある「膣内への異物挿入や人体切断アリ」という一文が、全てを物語っている。これは、物理的・精神的に完全に追い詰められる過程そのものを描く、シチュエーショナルな恐怖に特化した作品だ。

「フェチ・アナリスト」視点で見る、残酷の中の造形美

正直なところ、全ての作品が万人に受け入れられるものではない。残虐表現とエロティシズムが不可分に結びついているため、どちらか一方だけを求める読者には厳しい。しかし、「フェチ・アナリスト」の視点で見ると、また違った発見がある。例えば、異物挿入や人体損壊の描写においても、作家によって「肉」の質感や「壊れ方」へのこだわりは明確に異なる。bowaliaの近未来設定における機械的な損壊と、速水くろの民俗ホラーにおける有機的な崩壊は、同じ「壊す」行為でも、その美意識が対極にある。制服やネコミミといった要素が、残酷極まるシチュエーションの中でどのように機能するのか。そこに、ある種の倒錯した造形美を見出す読者もいるだろう。自分は「丸呑みカラーギャラリー」のビジュアルのインパクトに、思わず唸ってしまった。

購入前に知っておきたいこと

Q. 単行本と単話、どっちがお得?

本作はアンソロジー雑誌「COMICネクロシス」のVol.23です。単話での購入となります。212ページという大ボリュームで、9作品が読めるコスパは非常に高いと言えます。気に入った作家の単行本を探す「きっかけ」としても有効です。

Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?

各作品は基本的に読み切りです。「人間損壊 第2話」など続編要素のある作品もありますが、単体でも世界観や残酷描写は十分に楽しめる構成になっています。アンソロジーなので、気軽にどの作品からでも読めます。

Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?

タグに「残虐表現」と明記されている通り、暴力・グロテスク描写が中心です。人体切断、異物挿入など過激な描写が多数含まれます。NTRやスカトロのタグはありませんが、精神的・肉体的な「虐げ」がテーマの作品が多いです。苦手な方は絶対に避けてください。

Q. ストーリー重視?実用性重視?

「リョナ」というジャンル特性上、実用性というよりは「シチュエーションそのものの衝撃性」や「物語としての破滅性」を重視する作品がほとんどです。画力と構成力で読者を圧倒するタイプ。いわゆる一般的な「抜き作品」を求める方には不向きです。

狂気の美学に共鳴する者だけが辿り着く楽園

結論を言おう。これは、リョナ/ゴア/ホラーというジャンルを愛する者にとっての、一種の祭典である。外部評価(FANZA)では4.00点(2件)と、限られた評価ではあるが、理解者からの支持は確かにある。笑いとエロのバランスを求める読者には、全く別次元の作品だ。しかし、残酷な運命に翻弄されるヒロインの儚さや、破滅への美学に一種の「萌え」を感じる人。ホラーとエロの危険な融合に興奮する人。そういったマニアックな嗜好を持つ読者にとって、この212ページはまさに宝の山と言える。9人の作家がぶつける、それぞれの狂気の一片。そのどれかに、きっと刺さるものがある。自分は「わたしのかみさま」の、壊したい者と壊されたい者の危険な関係性に、強く引き込まれた。

📊 総合評価
Bランク
エロさ★★★☆☆
画力★★★★☆
ストーリー★★★★☆
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