COMICネクロシスvol.22のレビュー・感想・徹底解説

レビュー・徹底解説

👤誰向け?リョナ・ハードコア愛好家
⚠️注意点残虐・グロ描写多数
おすすめBランク

正直に言うと、最初は半信半疑だった

「リョナ・オンリーアンソロジー」という看板を見た時、正直なところを告白する。エロとグロのバランスが崩れていないか、心配だった。ギャグやコメディのタグが付いているとはいえ、残虐表現や触手といった要素が並ぶ。果たして、笑いとエロのバランスを楽しみたい自分に刺さる作品なのか。それとも、単なるグロ描写のオンパレードに終わるのか。161ページというボリュームに期待を込めつつ、少しの不安を抱えてページを開いた。

読み進める中で、その世界観に引き込まれた

最初の作品から、予想を裏切られた。確かに描写はハードコアだ。しかし、そこには独特の美学と、時にコミカルな展開が同居していた。例えば「人間損壊」では、殺さないを信条とする闘士が登場する。暴力描写の中に、一筋の信念の光を見出すことができる。これは単なる破壊の描写ではない。作者の意図が感じられる。

「ゴア・ロア」では、食人一家の非日常的な日常が描かれる。洞窟に吊るされた遺体という設定は確かにホラーだ。しかし、そこに巻き込まれた少年の視点を通すことで、読者は奇妙な共感を覚えてしまう。このギャップが作品の深みを作っている。正直、この世界観の構築力には参った。

「改少女ト買獣―ウシ―」では、獣人と人造牛というファンタジー設定が、意外にも純愛めいた感情の機微を描く土台になっている。身体は快楽に堕ちても、心では抗う。そんな複雑な心理描写が、過激なシチュエーションを人間臭く見せてくれる。ページをめくる手が、自然と速くなっていった。

笑いと戦慄が同居する、異色のコメディ

特に「魔法少女デスゴアビッチ#007」は、本アンソロジーの異色さを象徴していた。バレンタインとストーカー気質という組み合わせが、どこか滑稽だ。そして、その先に待ち受けるのは「ビッチ」の登場による、おそらくは過激な展開だろう。この「日常の延長線上に非日常が待つ」という構図が、読者をくすぐる。ギャグ・コメディのタグは、単なる飾りではなかった。

「怪異退治2」では、クーラーに改造された不死の少女が再び戦う。目玉や内臓をくり抜かれるという閲覧注意の描写がある一方で、その設定そのものに一種の諧謔味を感じずにはいられない。作者は、読者がどこで笑い、どこで戦慄するかを計算している。この計算された狂気が、このアンソロジーの真骨頂だと思った。

そして、ここに至る。狂気と愛の境界線

このアンソロジーを貫くテーマは、「破滅的な愛」や「精神的錯乱」だと感じる。しかし、それは単なる狂気の賛美ではない。例えば「出来損ないのキメラ」では、兄によるレ●プという絶望的な状況から、少女がキメラを連れて逃げ出す。ここにあるのは、歪んだ状況下での、純粋な庇護の感情だ。「栄養タンクと化した女」では、死への恐怖が確信へと変わる過程が描かれる。絶望の先にある、ある種の諦念や受容。

最も印象的だったのは、これらの過激な描写の全てが、あくまで「漫画」というフォーマットの中で完結していることだ。SRBGENk氏による表紙の「自傷で愛を刻み込むイカレガール」が示すように、これは現実逃避のためのエンターテインメントであると同時に、一種の芸術表現でもある。161ページという大ボリュームは、この特異な世界にどっぷり浸かるための、十分すぎる長さだった。読了後、一種の爽快感と疲労感が混ざった、複雑な気分に襲われた。

購入前に知っておきたいこと

Q. 単行本と単話、どっちがお得?

本作はアンソロジー単行本です。掲載作家8名による描き下ろし全8作品が125ページに凝縮されており、単話購入よりも明らかにコスパが良いです。161ページ全体では表紙や目次等を含むボリュームです。

Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?

問題なく楽しめます。通巻22号目ですが、各作品は完全に独立した短編です。シリーズものの続編は含まれておらず、作家陣の描き下ろしなので、今号から読み始めるのがおすすめです。

Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?

残虐表現」タグの通り、四肢切断、身体改造、解体など過激な暴力描写が多数含まれます。NTRやスカトロの描写はあらすじからは確認できませんが、ホラー・グロ要素は本作の核心の一部です。苦手な方は要注意です。

Q. ストーリー重視?実用性重視?

ストーリーと世界観構築に重点が置かれています。各短編には明確な起承転結があり、実用性というよりは「観賞する」作品です。リョナ・グロジャンル特有の、残酷でありながらもどこか美しい描写を楽しむ方向けです。

狂気の美学に触れる、特異点のような一冊

本作は、万人におすすめできる作品ではない。しかし、リョナやハードコアな描写を「エンタメ」として、時に笑いさえ込めて楽しめる読者にとっては、非常に充実したアンソロジーだ。8人の作家がそれぞれの解釈で「破滅的な愛」を描き切り、その多様性が161ページに収まっている。画力は作家によって差があるものの、総じて表現力は高く、過激な描写も丁寧に描き込まれている。笑いとエロのバランスを求める読者には、その「笑い」の質がやや特殊かもしれない。だが、このジャンルの深淵を覗いてみたい好奇心旺盛な方には、Bランクとして十分に推せる一冊だ。

📊 総合評価
Bランク
エロさ★★★★☆
画力★★★★☆
ストーリー★★★☆☆
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