メンズゴールド 2015年8月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
誰向け?背徳感と肉感を両方求める人
注意点寝取り・寝取られ要素あり
おすすめBランク
熟女の股間が濡れる季節、その熱量を253ページに封じ込めた一冊
「熟女の股間が濡れる季節到来!」という煽り文句。正直、これだけで全てを語っている。2015年夏に発売されたアンソロジーコミックだ。表紙から漂う濃厚なオーラ。これは特定の性癖を持つ者たちへの、迷いのない呼びかけである。ページ数は253P。読み切り作品が詰め込まれた、ある種の祭典のような一冊だ。まずはそのボリュームと、掲載作家陣の豪華さに目を奪われる。春輝、八月薫、北里ナヲキ…。名を連ねる作家たちは、いずれも「濃厚」という言葉が似合う面々だ。この雑誌を手に取る時、読者は既にある種の覚悟を決めている。日常から逸脱した、汗と体液にまみれた世界へ足を踏み入れるための。読み進めるほどに浮かび上がる、二つの顔
表向きは「オール新作読み切り」のエンタメ誌だ。しかし、その内側には確固たるテーマ性が横たわっている。タグが示す通り、「巨乳」「人妻・主婦」「寝取り・寝取られ・NTR」「女教師」。これらは全て、ある種の「境界侵犯」を伴うシチュエーションである。単なる官能描写の羅列ではない。それぞれの作品が、社会的身分と内なる欲望の亀裂を描き出す。「世にもHな都市伝説L」にみる、実話という名の背徳の入り口
大見武士による「世にもHな都市伝説L」は、作中で「実話エロス」と紹介されている。この「実話」という枕詞が持つ力は絶大だ。読者の「もしや…」という想像に、現実味という危険な香料を振りかける。都市伝説という曖昧な領域を借りて、通常は語られない性的逸脱を語る。それは読者を、単なる観客から「共犯者」へと引きずり込むための巧妙な仕掛けだ。自分も知っているかもしれない、そんな日常の隙間からこぼれ落ちるエピソード。そのリアリティが、背徳感にさらに磨きをかける。「人の妻」と「牝の時間」が描く、関係性の溶解
友美イチロウの「人の妻」と、ふじいあきこの「牝の時間」。これらのタイトルからは、所有と時間の概念がにじみ出る。「人の妻」は所有権の侵犯を、「牝の時間」は雌としての本能が顕在化する特異な時間を暗示する。レンタル家事手伝いという非日常的サービス。そこで「あんな事まで」起こる過程は、社会的身分という鎧が、いかに脆く剥がれ落ちるかを描くための絶好の舞台だ。既存の人間関係が溶解し、新たな欲望の関係性が結晶する瞬間。この作品群は、その化学反応を多角的に炙り出そうとしている。表紙連動フルカラーが示す、誌面のこだわり
「表紙連動フルカラー」という点も見逃せない。単にカラーページがあるのではなく、「連動」している。これは誌面全体を一つの「世界」として構築しようとする編集方針の表れだ。読者を違和感なく作品世界に没入させるための、細やかな気配りである。MON-MONの「お試しアダルトショップ」やふぁんとむの「ヤリたい放題セフレタリー」もフルカラーとある。視覚的なインパクトを最大限に活用し、官能劇場としての密度を高めている。253ページというボリュームの中に、緩急のリズムを作り出しているのだ。正直なところ、これは選ばれた者のための酒である
万人に勧められるものではない、と断言する。アンソロジー誌の宿命として、作家ごとの画風やストーリーの濃淡の差は否めない。全ての作品が均質に「神」というわけにはいかない。また、「寝取り・寝取られ」というタグが示す通り、純愛や一途な関係を求める読者には地雷となりうる要素だ。関係性がねじれ、壊れ、別の形で再構築されていく過程にこそ本作の真骨頂がある。逆に言えば、既存の倫理観が揺さぶられる「危うさ」にこそ興奮を覚えるタイプにとっては、これほど充実したアンソロジーはそうない。自分がどの「陣営」の人間なのか、あるいはその境界線を覗き見たいのか。それを自問できる者だけが、その味を堪能できる。購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
本作は雑誌(単話)です。253ページで作家陣も豪華なため、コスパは非常に高いと言えます。特に掲載作家のファンであれば、単行本未収録作品が読める可能性もあり、雑誌ならではの価値があります。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
ほぼ全てが読み切り作品です。シリーズ物と明記されている「催●調教学園」「世にもHな都市伝説L」などは続編ですが、単体でも楽しめるように作られているのが通例です。安心して飛び込めます。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
タグに「寝取り・寝取られ・NTR」と明記されています。複数の作品で、配偶者や恋人がいる女性が他の男性と関係を持つ描写が含まれると推測されます。この要素が苦手な方は注意が必要です。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
作家によりけりですが、全体的には「シチュエーションと心理描写を効かせた実用性」という印象です。背徳感というスパイスを利かせ、エロスを引き立てるストーリーが多く、実用性のみを追求した描写よりも深みがあります。
結論:濃厚な背徳の沼に、足を踏み入れる覚悟はあるか
これが単なるエロ漫画の寄せ集めではないことは、読了すれば明らかだ。これは「日常の仮面を被った牝たち」の生態を、多角的に観察するための資料集である。253ページという分量は、その世界観への没入を確実なものにしてくれる。久しぶりに「買ってよかった」と思えた。特に「人の妻」というタイトルが示す所有概念の曖昧さには、思わず唸った。全ての作品が最高峰とは言わない。しかし、巨乳や人妻、女教師というフォーマットの中に「寝取り・寝取られ」という危険な化学反応を仕込み、読者の倫理観を揺さぶろうとする意志は一貫している。この意志に共鳴できる者にとって、この雑誌は2015年夏の、確かな「収穫」となるだろう。📊 総合評価
Bランク
エロさ★★★★☆
画力★★★★☆
ストーリー★★★☆☆
