COMIC阿吽2011年2月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
深崎暮人の表紙が物語る、2011年の「美少女」の形
まず謝らせてほしい。舐めてた。単なるアンソロジー誌と。しかし表紙を描く深崎暮人の筆致は、既に全てを語っていた。白くないけどエロいうさぎ。そのキャッチコピーが示す通り、純白ではない官能が誌面を満たす。2011年という時代の、美少女造形の一つの到達点がここにある。472ページというボリュームは、当時の熱量をそのまま封じ込めたタイムカプセルだ。
読み込むと浮かび上がる、作家たちの個性
アンソロジーは作家の個性の競演場だ。しかしこの号は、特に「肉」と「動き」への執着が際立つ。各作家が異なるアプローチで、少女の身体性を描き分けている。一読しただけでは見逃してしまう、細部へのこだわりにこそ価値がある。
伊佐美ノゾミの「うしじまいい肉」が定義する柔らかさ
あらすじに名を連ねる「うしじまいい肉」は、文字通り肉感の追求だ。伊佐美ノゾミの描く肌は、圧力に反応する生きた弾力を持つ。光の当たり方、影の落ち方。それらが総合されて、触覚までも喚起する質感を生む。これは単なる巨乳描写ではない。質量と柔軟性の、絶妙な均衡の美学だ。正直、この肉感の描き方だけで誌を買う価値がある、と唸った。
昭嶋しゅんのカラー28Pが放つ躍動感
「Push! Gush! Rush!」。タイトルが全てを物語る。昭嶋しゅんによる巻中カラー28ページは、動きのデッサン力が光る。体液の飛沫、身体の反り、表情の崩れ。一瞬の快楽を、複数の動的要素で構成する。彼の線は勢いがあり、かつ正確だ。画面から溢れんばかりのエネルギーが、読む者をそのリズムに巻き込んでいく。
環々唯とおおとりりゅうじ、対照的なアプローチ
「雛忍 爆乳伝」の環々唯は、そのタイトル通りパワフルな造形を志向する。一方、おおとりりゅうじの「朧」は、おそらくより叙情的な雰囲気をまとうだろう。同じ「美少女」というタグの下で、これほどまでに表現が分化する。アンソロジーの醍醐味は、この多様性を一度に味わえる点にある。
正直なところ、これは「画」を食う人のための号だ
ストーリーの深みや複雑な心理描写を第一に求める読者には、物足りなさを感じるかもしれない。あらすじから推測するに、各作品は比較的直球なシチュエーションを基調としている。しかし逆に言えば、キャラクターの魅力と作画の技巧を純粋に楽しみたい読者には、これ以上ない舞台だ。特に身体の描き方、衣装の質感、構図の面白さに目が行く人なら、ページをめくるたびに発見がある。自分は、各作家の「手癖」のようなものを観察するだけでも十分に楽しめた。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
本作は雑誌(単話)です。472ページという膨大なボリュームで複数作家を楽しめるため、コスパは極めて高い。気になる作家の単行本を探して買い集めるより、この一冊で様々な画風に触れる方が効率的です。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
問題ありません。掲載作品は連載物も含まれますが、アンソロジー誌として各話完結で楽しめるように編集されているはずです。あらすじからも、特に前提知識が必要とは読み取れません。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
付与されているタグは「マンガ誌」「美少女」のみです。あらすじの表現からも、過度なハードコア要素や精神的苦痛を伴う描写は、おそらく少ないと推測されます。比較的健全な範囲の美少女作品集と言えるでしょう。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
作画(画力)とキャラクター造形が生命線です。ストーリーはシンプルなシチュエーションを背景に、如何に魅力的に少女を描くかが主眼。つまり「視覚的実用性」と「画力鑑賞」の両面で楽しむ作品群です。実用性も十分ですが、絵を読む楽しみが大きい。
結論:美少女作画の2011年型標本として、今でも輝く
これは、特定の作家やシリーズに絞らず、広く「美少女の描き方」自体を楽しみたい人への推薦だ。深崎暮人、伊佐美ノゾミ、昭嶋しゅんら、実力派たちが一堂に会する。彼らが同じ時代に、どのように「可愛い」「エロい」を形にしたか。その技法のサンプル集として、472ページは圧倒的な情報量を持つ。古い誌面だが、確かな画力は色褪せない。絵を食うことが好きな全てのフェチ・アナリストに、このタイムカプセルを開ける体験を勧めたい。
