COMIC真激 2020年12月号のレビュー・感想・徹底解説
レビュー・徹底解説
月刊誌の醍醐味、多様な作家の競演
COMIC真激 2020年12月号は、その名の通り月刊アンソロジー誌だ。単一作家の世界に浸る単行本とは異なる。複数の作家が一堂に会する。いわば、エロ漫画界のオムニバス映画のような立ち位置にある。404ページというボリュームは、その約束を確実に果たしている。様々な「好み」が、一冊に凝縮されている。特定のテーマに特化した同人誌や、作家性を追求した単行本とは一線を画す。雑誌ならではの「多様性」が最大の特徴と言える。
バラエティ豊かな14本の物語
この号の独自性は、何と言ってもそのラインナップの幅広さだ。掲載されている14作品のタイトルを見るだけで、その多様性が伝わってくる。「風紀委員」「女教師」「ウェイトレス」「姉・妹」といったタグは、収録作品の傾向を暗示している。処女ものから既存関係の濃厚なものまで、テーマは実に様々だ。例えば、板場広し氏の『妹とやってしまった』は、タグ「姉・妹」から推測される近親ものの一編と思われる。一方、垣崎コウセイ氏の『亭主元気で一緒がイイ』は、夫婦間の日常的なエロスを描いている可能性が高い。一冊でこれだけのバリエーションを味わえるのは、月刊誌ならではの強みである。
さらに、連載作品と読み切り作品が混在している点も見逃せない。泥っせる氏の『妾家の日常』やgonza氏の『僕だけの淫母たち』はシリーズものだ。前後の話を知らなくても楽しめる作りにはなっているだろう。しかし、シリーズの流れを追うことで、より深くキャラクターに関わっていける楽しみもある。単発の読み切りは、その作品だけの完結した世界を存分に味わえる。この「継続」と「完結」のリズムが、雑誌を読む際の独特の楽しみを生み出している。
アンソロジー誌という選択肢の価値
もしあなたが、特定の作家やシリーズを追いかけているなら、単行本や同人誌が主な選択肢となる。しかし、「今日はどんな出会いがあるだろう」という探検心を抱いているなら、アンソロジー誌は最高のパートナーだ。COMIC真激のような雑誌は、未知の作家や新しいジャンルへの入り口になる。この2020年12月号には、黄猿、羽衣石ぽる、かえぬこなど、様々な作家が名を連ねている。気に入った作家が見つかれば、その作家の単行本や過去作品を探すきっかけにもなる。つまり、好みの開拓基地としての役割を果たすのだ。似た傾向の雑誌としては、COMIC快楽天やCOMIC失楽天などが挙げられる。それぞれ掲載作家や作風に特色があるため、好みに応じて棲み分ける楽しみ方もある。
購入前に知っておきたいこと
Q. 単行本と単話、どっちがお得?
「お得」の基準による。特定の作家やシリーズが好きなら、単行本でまとめて読む方が効率的だ。しかし、複数の作家を少しずつ楽しみたい、新しい好みを発見したいなら、このような雑誌形式は非常にコスパが良い。404ページで14作品というボリュームは、単行本数冊分に相当する。
Q. 前作やシリーズを知らなくても楽しめる?
ほとんどの作品は単体で楽しめるように作られている。あらすじにある連載作品(例:『妾家の日常 ep4』)も、その話の中で完結するエピソードが描かれていると思われる。ただし、キャラクター関係の深みや経緯は、シリーズを通して読む方がより理解が進むだろう。
Q. 地雷要素(NTR、スカトロ、暴力等)はある?
提供されたタグやあらすじからは、過度な猟奇描写やスカトロを示す要素は見当たらない。タグにある「処女」「女教師」「姉・妹」などは、比較的オーソドックスなジャンルだ。ただし、個々の作品によって描写の濃淡や嗜好性は異なるため、アンソロジー誌特有の「当たり外れ」はあると覚悟しておきたい。
Q. ストーリー重視?実用性重視?
作家によって大きく異なる。タイトルから推測するに、『まわりくどい彼女 素直じゃない』などは関係性の駆け引きを楽しむストーリー性の強い作品と思われる。一方、『快楽マンション』や『ドスケベ催●リベンジ』などは、より直接的なシチュエーションを前面に押し出した実用性重視の作風が期待できる。両方の楽しみ方が一冊に混在している。
多様性を求める読者への、安心の一冊
結論から言おう。これは、「今日の気分に合わせて作品を選びたい」という読者に刺さる雑誌だ。一つの世界観に深くハマるというよりは、様々な味を試食するような楽しみ方になる。外部評価(FANZA)では3.00点(2件)と、評価件数が少なく判断が難しい状況だ。しかし、これはアンソロジー誌の宿命でもある。好みの作品が一つでも見つかれば、その価値は十分にある。14作品もあれば、少なくとも数本は心に残る出会いがあるはずだ。画風もストーリーも多種多様だからこそ、発見の喜びが大きい。ただし、全ての作品が自分に刺さるとは限らない。これは、覚悟して読んでほしい。その上で、未知との遭遇を楽しめる好奇心旺盛な読者には、十分に推せる一冊である。
