「Ziggurat編集部」という作家を一言で表すなら
「日常の些細な歪み」から始まる、背徳感と肉感の濃密な融合。これに尽きる。同人サークルとして活動するZiggurat編集部は、現実の延長線上にある、ほんの少しだけ狂ったシチュエーションを描くことに特化している。出張先のホテル、自宅のリビング、会社の隣の席――どこにでもありそうな場所で、ありえない、しかしどこか現実味を帯びた「ずれ」が生じる。そのわずかな亀裂から、濃厚なエロスが滴り落ちてくるのだ。
この作家を追うべきは、「ありえないけど、もしも…」という想像にドキッとする人だ。純愛一辺倒でもなく、かといって非現実的なファンタジーに逃げるのでもない。現実の地面を踏みしめながら、その一歩横へとずれた先にある、危うい魅力を追求する。日常のフリをした非日常。それがZiggurat編集部の最大の武器である。
Ziggurat編集部先生の"エロ"を構成する要素
そのエロティシズムは、主に三つの要素で構成されている。
1. 汗と照れに輝く、等身大の「肉」
画風の最大の特徴は、「しっとり汗ばむむっちりボディ」というキャッチコピーが全てを物語っている。完璧すぎるプロポーションではなく、ふくよかで柔らかそうな、いかにも触り心地が良さそうな肉体描写に定評がある。肌の質感、汗の光り方、恥じらいで上気した頬の赤み――これらの描写は、あらすじからも推測される通り、非常にこだわりが感じられる。正直、この汗と照れの表現だけで、作品の臨場感とエロさは格段に上がっている。どうやったらこんなに生々しく描けるんだ、と唸った。
2. 「負い目」と「ずるずる」を巧みに操るシチュエーション設計
作品1では「部屋を借りているという負い目」、作品2では「夫に言えない嘘のような現実」、作品3では「マッチング相手が隣の人だと明かせない状況」。いずれも共通するのは、主人公が何らかの「負い目」や「秘密」を抱え、その状態から「ずるずると」関係がエスカレートしていく点だ。強制ではなく、半ば自らの選択で(しかし追い詰められて)深みにはまっていくプロセスに、独特の背徳感と没入感がある。読者は「ダメだ…」と思いながら、ページをめくる手を止められなくなる。
3. 現実に根ざした、突拍子もない「もしも」
飼い犬が人間になる(作品2)という設定は一見非現実的だが、その核にあるのは「最も身近な存在からの、予期せぬ性的な要求」という、現実でも起こりうる恐怖や欲望に近い感情だ。出張(作品1)や出会い系アプリ(作品3)は、現代のビジネスパーソンや若者にとって極めて身近な要素である。Ziggurat編集部は、これらの日常的な土台の上に、ほんの少しだけファンタジーや極限状況を乗せることで、読者の「もしもあの時…」という想像力に直接火をつける。わかってる。この作家、読者の性癖のツボをわかってる。
入門者向け:まずはこの作品から
Ziggurat編集部の世界観に最初に触れるなら、作品1「人妻で会社員の桜井里佳は…」が最もオススメだ。その理由は三点ある。
第一に、シチュエーションが非常に理解しやすい。出張先のホテル手配ミスという、誰もがヒヤッとする可能性のあるビジネス上のハプニングが発端だ。現実味のある設定だからこそ、その後の展開の「ずれ」がより際立つ。
第二に、関係性のエスカレートが「3日間」という明確な時間軸で描かれる(あらすじより)。「ずるずる」という作家の真骨頂が、時間の経過とともに凝縮されている。最初は無理難題に思えた要求が、日を追うごとに「普通」になっていく心理描写は、この作家の腕の見せ所だろう。
第三に、「羞恥」の要素が強く、エロ漫画としての実用性が非常に高い。大音量の動画を前に「オカズ」になることを強要される人妻の恥じらいと、それに伴ういやらしい振る舞い――これはもう、ある種の「沼」である。この一作でZiggurat編集部の魅力の8割は体感できるはずだ。自分はこの「負い目を利用される」緊張感に、思わず引き込まれてしまった。
この作家を追うべき理由
Ziggurat編集部は、同人サークルとしての活動が主である。つまり、商業誌の作家のように定期的な連載があるわけではないかもしれない。しかし、だからこそ、一作一作に「やりたいことを詰め込む」という濃密さと熱量が感じられる。既存の3作品からも、画力の向上やシチュエーションへの貪欲な探求心は明らかだ。
今後も、我々の身の回りにある「普通」を丁寧に拾い上げ、それをほんの少し捻じ曲げて見せるというスタイルは変わらないだろう。次に来るのは、アルバイト先の先輩と? マンションの管理員と? あるいはまた別の、身近なペットと? その想像をかき立てる力こそが、この作家の最大の価値である。
ファンとしての楽しみ方は単純だ。新作が出たら、まずはあらすじの「最初の一捻り」に注目する。そこにドキッとするものがあったら、迷わず購入する。間違いなく、汗ばむ肌と、ずるずると堕ちていく背徳感、そしてどこか切ない日常の終わりが待っている。電車では絶対に読むな。これは忠告だ。自宅で、誰にも邪魔されない環境で、その濃密な「もしも」の世界に浸るべき作品群なのである。



































































































